起業は「罪」なのか? ディープテックのスタートアップ企業に寄せられる期待と不安を考える

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社内起業家についても、同じようなことが言えます。以下、独立起業家か社内起業家かの違いは、いったん横に置いて、最後までお付き合いいただければ幸いです。

「無罪」=成功を誰に訴えるべきか

無罪を主張するときに大切なのは、評価を下す相手です。スタートアップの場合、評価を下すのは、国の助成機関、ベンチャーキャピタリスト、機関投資家、メディア、利用者などさまざまです。社内起業家の場合、これに直属の上司や、予算を管轄する本社などが加わります。

井上達彦(いのうえ たつひこ)/神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)取得。2008年より現職。早稲田大学産学官研究推進センター副センター長・インキュベーション推進室長などを歴任。専門は、ビジネスモデルと競争戦略。主な著書に『ゼロからつくるビジネスモデル』『模倣の経営学』などがある(写真:本人提供)

起業家は、これらのオーディエンスに無罪(すなわち成功)を主張しなければなりません。成長の節目ごとに納得してもらえなければ、次のステージに進むことができないのです。

ところが、ステージごとに評価者は異なります。相手の刺さるポイントが違うわけですから、相手に合わせたアピールが必要になります。

テック系スタートアップの場合、第1の段階で評価を下すオーディエンスは、理工系の研究者と助成金管理者です。彼らは、それぞれの専門知識に照らし合わせ、提出された学術論文やデータの信憑性から開発された技術コンセプトを評価します。

第2の段階で評価を下すオーディエンスは、ベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家です。売り上げや利益はまだ出ていないので、利用者数、離反率、顧客1人を獲得するコストなど、将来の売り上げと利益を左右する中間的な成果指標が見られます。

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