保険会社でありながら、補償だけにとどまらず、人と人とのネットワークを育て、長期的な価値を築く——。こうした仕事を任される背景には、彼の「人との関係を築く力」への信頼があるのだろう。その秘訣を尋ねてみると、返ってきたのは意外な答えだった。
「人と深く付き合わないことですね。同時に、その場その場でインパクトのある関係を作るよう意識しています」

宮本さんは、経営者とのやり取りを「一期一会」の連続と捉えている。「毎回、目の前の相手とのやり取りに全力を注ぐ。だからこそ次に会ったときには、また新しい関係が築ける。それでいいんです。
サラリーマンは、手離れがよくなくてはいけない。自分で抱え込まず、次の人に渡せる形にすることが大事だから、全力で向き合いつつも、時がきたら次に移れるというマインドを大事にしています」
"深く付き合わない" と言うとドライに聞こえるが、それは目の前の相手に集中し、最大限の価値を提供するということが前提。一度のやり取りに完全燃焼し、時期が来れば次の誰かへとバトンを渡していく——。それが組織人としての宮本さんの流儀なのだろう。
理想の住まいの完成と単身赴任のはじまり
宮本さんは、もともと家族とともに転勤生活を送っていた。当初は北海道から熊本、名古屋など、家族は常に一緒だった。しかし、子どもが成長するにつれ、教育環境を考えると、転々とする暮らしには限界があった。そんなときに出会ったのが静岡県富士市。
「北海道人って、実はあまり大きな山を見たことがないんですよ。だから富士山を目の前にしたときのスケール感がすごくて。それに、気候も人も穏やかで、ここなら落ち着けるんじゃないかと思いました」

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