57歳でJAXAを定年前退職してフリーランスに。宇宙飛行士・野口聡一氏に聞く世代別転職アドバイス
「『宇宙飛行士になりたい』と言ってJAXAに応募しましたが、それまでの生活をすべてなげうたなければならないわけではないですよね。宇宙飛行士に応募するのは紙1枚です。『宇宙に対する想い』みたいな小論文は書かされましたけど、それ以前の仕事をなげうたなければならないというわけでもない。たとえ宇宙飛行士になれなかったとしても、自分の人生の不利になるわけでもない」
「宇宙飛行士は飛行機のパイロットでもあるんですが、最初にセスナで離陸する経験をした時に教えてくれた人が『人間には2種類ある。飛んだ人間か、飛んでない人間かだ』と言っていたんです。操縦桿をグッと握って離陸するっていうのはそれほどインパクトのあることなんですよね。
『挑戦する』ことに過剰なハードルを設ける必要はありません。挑戦して達成できなかったとしても、自分の品位が下がるわけでもないし、むしろ挑戦したことでそこまではやったっていう満足感が得られるはずです」
就職氷河期世代に贈るメッセージ
今の50代後半は、就職活動がイージーモードだったし、今の若者は少子化の結果、人数が少ないのでその希少価値で初任給が高騰したりしている。しかし、いわゆる『就職氷河期世代』の人は、そういう世代的なメリットが非常に少なかった。そういう人にアドバイスはあるだろうか?
「世代による不条理感は、残念ながら間違いなくあって、時代でいうと2000年頃に社会に出た人たちはすごく割に合わない苦労をされていましたよね。年齢が上がるにしたがって、その格差はますます広がっている。
今、中間管理職、課長さんあたりはめちゃくちゃしんどいワケですよ。上からは叩かれ、下からは突き上げられ、自分たちは給料は上がらないのに、若手には高い初任給が払われて、というような。だから、そういう人にこそ、人生を諦めてない生き方をしてもらうことが大切だと思います。
先ほどお話した『自分に評価軸を取り戻す』ということですね。何度も挑戦してもいいと思うし、いつ挑戦してもいい。ただ、会社組織としては、この世代の人たちが、会社組織の不条理を一身に引き受けているというのは理解してサポートした方がいいんじゃないかな」

では、女性について。宇宙飛行士には女性も大勢いらっしゃる。過酷な訓練を経る必要があり、住む場所や生活などにも制約の多い宇宙飛行士で女性が多いというのはどういうことなのだろう? 日本社会で女性が活躍するためのヒントはないのだろうか?
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