球場周辺では、MLB開幕シリーズのグッズを買うために長い行列ができていた。WBCやプレミア12でも見慣れた風景ではあるが、今回は「侍ジャパン」ではなく日本とは無関係の「ドジャース」「カブス」のグッズだ。
もちろん以前の「メジャー開幕戦」でも、こうしたグッズ販売は行われていたが、今回の売り上げは他の特設店舗も含めて60億円に達した。MLBグッズのライセンスビジネスを一手に担うファナティクス(日本法人ファナティクス・ジャパン)にとっても大きなビジネスになったはずだ。

NPB選手のパフォーマンスがデータで公開
試合のスコアボードの仕様も、NPBの試合とはまったく異なっていたが、実は、選手のデータ解析について、大きな動きがあった。
MLBでは映像解析機器「ホークアイ」を基幹とするデータ解析システム「スタットキャスト」を全30球団の本拠地球場に配備している。公式戦での選手の投打、守備のパフォーマンスはすべてこのシステムで捕捉され、解析されて、公式サイトの「Baseball Savant」というコーナーにオンタイムで掲載されている。
東京ドームにも「ホークアイ」が装備されているので東京の開幕戦でも「スタットキャスト」は稼働すると思われたが、MLBの試合だけでなく、巨人、阪神の「プレシーズンマッチ」のデータも公式戦同様に記録され、日本人選手のデータも「Baseball Savant」に公開されたのだ。
これまでNPB選手の試合でのパフォーマンスのデータは公表されていなかった。しかし今回、わずか2試合にせよ、MLB選手と同じスタットキャストのデータが公開されたのだ。
打球速度では、ドジャース、カブスの全打者を差し置いて、阪神の森下翔太が最速の181.2km/hを記録した。続いて巨人、岡本和真の179.8km/h。カブスの鈴木誠也は179.6km/h、大谷翔平は172.8km/h。
大谷はペナントレースでは190km/h超の打球を飛ばす。MLBの打者は調整不足が目立ったが、それでも、森下はMLBの玄人筋に一挙に注目されたはずだ。
恐らく今回の「東京シリーズ」は、MLBサイドの日本への認識を大きく変えたと思われる。「日本はMLBのマーケットになり得る」。
NPBはこのシリーズの主催者の一員ではあったが、今後、MLBは強力な競合相手になる可能性があるだろう。
それにしてもここまでの「大波」をもたらしたのが、つまるところ「大谷翔平」という30歳の「一選手」だったことに、改めて驚きを禁じえない。
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