アキュセラ、近く新たなパイプラインを発表 経営復帰から5カ月の窪田良CEOに聞く

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――それにしても、今年前半は大変な波乱があった。改めて振り返ってみてどのような感想を持っていますか。

あきらめなければ道は開ける、ということでしょうか。米国と日本のレギュレーションの違いがあるうえ、われわれのような、本拠は米国の会社だが日本でのみ上場しているという例がなかったこともあって、臨時株主総会を開くまでに、前例のない手続きをしなければならず、しかも時間との競争で、大変でした。こんなことで「世界初」をやるつもりはなかったのですが(笑)。支援してくれた北尾(吉孝・大株主SBIグループCEO)さんも「よくやりきったなぁ」と感心してくれました。

ただ、この困難を乗り越えたことで、社内の非効率な部分を外科的に一気に治療することができた。ピンチがチャンスに変わったわけです。決断がほんのわずかでも遅れたら間に合わなかった可能性が高かったのですが、うまく切り抜けられた。

もうひとつ、自分の思いを理解してくれるチームがどうしても必要だとわかったことも、重要です。これまでは、自分と異なる意見を言ってくれる人が必要だと思い、そういう人を採用してきたのですが、会社のステージが変わってくると、同じ基準で人を選ぶのは危険です。日本で上場しているのに日本の投資家の願いを理解しない人たちでは困るのです。米国のプライベートカンパニーでいる間はよかったが、日本での上場後は、取締役会が実質的に機能しなくなっていた。今回、日本の投資家やマーケットがわかる人に思い切って変えることができたのは本当によかった。

ゼロから1を生み出すために必要なこと

――近著『「なりたい人」になるための41のやり方』の41には、どのような意味があるのですか。通底するキーワードは「あきらめずに努力する」ことと、「おめでたい」ということだと感じました。

書いていくうちに41項目になってしまっただけで、数字そのものに意味はないんです。「おめでたい」というのは究極のポジティブシンキングですし、「あきらめずに努力する」というのは小さなトライアル&エラーの積み重ねの中で「気づき」をいかに次に生かすか、ということだと思います。いずれもゼロから1を生み出す、イノベーションを起こすためには必要な姿勢だと思います。

これはなにも発明家や研究者だけが意識すればよいというわけではないと思うんです。最近は、1を10にする人、10を100にする人はたくさんいますが、ゼロから1を作り出す人は増えていないと感じます。満たされた社会の中でゼロから1を作るのは難しくなっているという見方もありますが、身近なサービスや健康に関わる問題、あるいは芸術に関することなど、人間の求めるバリューにはまだまだ多様なものがあります。一般の人たち、特に若い人たちにもそういう意識を持ってもらえたら、と思います。
 

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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