「最盛期1328人→現在47人」ある限界集落の歴史 「007」ロケ地、鹿児島県南さつま市・秋目の歩み

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前編でもお伝えしてきた通り、集落最後の飲食店であり、雑貨屋であり、宿(宿はもう一軒あり)であり、“地域の総合商社”ともいわれる「がんじん荘」。その源流をたどると“よそ者”として始まったことがなんだか心に響いた。

「よそ者だからいろいろ苦労もあったみたいですけど、それを乗り越えて……と、昔の話は聞いてましたね。そのとき集落の人口は500人くらい。じいちゃんは左官屋さんで蔵を作ったり壁塗りしたり、ばあちゃんは雑貨屋さんをして豆腐やこんにゃく作って売ったり、酒タバコも扱って。人口が多かったからそれで十分食っていけたみたいです」

釣りブームで始まった宿

宿を始めたのは2代目の上塘さんの父の代から。昭和40年代になると、全国で釣りブームが起こる。目の前の秋目湾は多種多様な魚の釣れるよい漁場であったため、雑貨屋としての営業だけでなく、釣り客を対象にした宿も始めるようになった。この頃の名前は「上塘旅館」である。

「ほぼ雑魚寝みたいな感じで、朝ごはんを食べてすぐ釣りに出る。そんな感じでよかったんですよ。それが大体の宿の始まりです」

あるとき泊まった釣り客が「釣り船を出してやったらいいのではないか」と助言したのが瀬渡しの始まりだった。

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