「最盛期1328人→現在47人」ある限界集落の歴史 「007」ロケ地、鹿児島県南さつま市・秋目の歩み

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映画公開から50周年になる2017年には「007秋目サミット」が行われた。ロケ地散策やロケに使われた洞窟を巡るクルージング、出演俳優たちによるトークショー、そして『007は二度死ぬ』を上映するといった内容だ。

その後、新聞やテレビが取り上げ、全国レベルにロケ地としての認知が高まったという。

がんじん荘
「がんじん荘」の中には、映画ゆかりのポスターやポストカードなどが飾られている(筆者撮影)

仏教上陸と密貿易の歴史ロマン

映画の中では、ボンドが漁師に扮して潜伏していた秋目だが、その土地自体が“隠れ里”のような秘密めいた雰囲気がある。急峻な山に囲まれ海に面した秋目は、集落の外からの目が届きにくい場所である。

歴史をさかのぼると鑑真和尚が上陸した地であり、貿易港としても使われていた。貿易が禁止された藩政下では、秋目の2つ先の集落である坊津港で密貿易が行われていたことがよく知られているが、秋目にも密貿易の恩恵を受けたような、富の名残りを感じさせるものがそこかしこに残っている。

上塘さんが見せてくれた銭函の蓋も、そのひとつだ。

「銭函は、昔の金庫のようなものです。近くの家の方が蔵からモノを出して焼いていて、その中にこれがあったので貴重なものだと思いもらいました。こういうものは普通の平民の家にはまずありません。こんなものがあったということは、かなり裕福だったということかもしれません」

銭函の蓋
銭函の蓋。「文政11年とあるので、文政10年生まれの西郷さんが1歳のときのものですね」(筆者撮影)

さらに、秋目には漢方医の屋敷跡地が2軒残っている。小さな漁村に漢方医が2軒もあったとは普通ではない。ここに富があった証拠なのかもしれない。

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