末期がんで余命半年、名物映画Pの豪胆な死に支度 叶井俊太郎が「異色の対談集」を出したワケ

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膵臓がん・ステージ4であることを公表。しかし本人は「忙しくてがんどころじゃないのです」と語ります。映画プロデューサー・叶井俊太郎さんに話を聞きました(撮影:今井康一)
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「1カ月ほど前から体調悪くて病院に入院したり
検査したりしてまして、このたび、病名がわかりました。
『膵臓がん ステージ3』でした!」

2022年7月。当時、筆者が在籍していた出版社・サイゾーの社員たちに一斉メールが送られてきた。送り主は叶井俊太郎。同社の映画レーベル「エクストリーム」に所属する映画プロデューサーだ。

「『膵臓がん ステージ3』でした!」

「何度もいいますが、まったく実感してないので今の心境としては『膵臓がんって大げさじゃないか?』と思ってるし、忙しくてがんどころじゃないのです」

いつも、オフィスチェアにふんぞり返って「ガハハハ!」と大声で電話する豪快な姿を見ていただけに、彼の「余命半年もない」という報告に、周囲の人間たちはただならぬショックを受けた。

筆者はその後、同社を辞めるのだが、定期的に叶井氏から映画のパンフレットの翻訳業務を頼まれていたため、「余命宣告もいつもの『フカシ』だったのかな」と思い込むようにしていた。

しかし、2023年10月11日。彼は自身のX(旧Twitter)にて、昨年6月に膵臓がんのステージ3で「余命半年」と宣告され、現在はステージ4に進行していることを打ち明ける(叶井氏は妻が「くらたま」こと漫画家の倉田真由美氏であり、このこともあり、本件は大きなニュースとなった)。

同時にスタジオジブリ代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫氏や、ヒップホップMC・Kダブシャイン氏など、旧知の者たちを集めて昔話と「自身が余命半年と告げられたら?」という問いかけをまとめた対談本『エンドロール! 末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』(サイゾー)の発売も発表。

「余命半年」という宣告を受けてから、1年5カ月(11月現在)。今も笑いながら生きている男は、「クランクアップ」を迎えるまでに、ここまでどのような準備をしてきたのだろうか?

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