末期がんで余命半年、名物映画Pの豪胆な死に支度 叶井俊太郎が「異色の対談集」を出したワケ
映画業界では名物プロデューサーとして知られる叶井氏だが、世間一般にその名前が轟いたのは、2001年に彼が買い付けたフランス映画『アメリ』がヒットしたときのことだ。
『アメリ』買い付け、自己破産、バツ3…波乱万丈の人生
パリ・モンマルトルを舞台に、空想好きな女性・アメリの日常と不器用な恋の行方を描いた同作は、“オシャレ映画”としてフランスのみならず日本でも人気を博す。社会現象を巻き起こし、結果的に興行収入16億円の大ヒットを飛ばした。さらに、その成功を受けて、叶井氏は2003年には月9ドラマ『東京ラブ・シネマ』(フジテレビ系)で江口洋介演じる主人公のモデルとなった。
しかし、このヒットには裏話がある。ジャン=ピエール・ジュネの新作であることと、シナリオの段階で買い付けを決めたことで、彼は同作を”ゲテモノ映画”と思っていたというのだ。
もともと、叶井氏はあまりの残虐描写のため上映不可となった『八仙飯店之人肉饅頭』(1993年)、ネクロフィリア(死体性愛者)を題材にした『ネクロマンティック』(1995年)、コンドームが男性を襲う『キラーコンドーム』(1998年)など、いわゆるB級(むしろ、Z級……?)映画の買い付けや宣伝を得意としていた。そのため、自身の哲学からかけ離れた『アメリ』の大ヒットは、本人としても想定外だった。
『エンドロール!』では、叶井氏が自身の仕事について、次のように語る場面がある。
無類の映画好きでありながら、自身が配給した作品はロクに観ない。しかし、その作品を誰もが予想だにしない切り口や仕掛けで宣伝することで、世間を驚かせてきた。
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