多世代が集う「ボーダーレス福祉施設」に見る未来 グッドデザイン金賞受賞の「深川えんみち」

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2階の「うんどうひろば」。ゴム床になっていてボール遊びができるほか、マグネットで画用紙を貼れるよう、壁の一部にアイアンが埋め込まれており、空間をフレキシブルに使えます(写真撮影/片山貴博)
夏に水遊びができる屋上スペース。写真右手の菜園コーナーは本格的で、自然農法の講師を迎え、子どもと保護者らが一緒になってトウモロコシや綿・大豆などを育てています(写真撮影/片山貴博)

夜間の学習支援やマルシェも計画中

「深川えんみち」では、まちの人たちとのつき合いも生まれています。「エンミチ文庫」での立ち話から、商店街にある寿司屋の店主に、児童に包丁の使い方を教えるワークショップを開いてもらうことになったり、紙芝居を披露してくれる人が現れたり。これから子どもを迎える夫妻が、「子育てひろば」に通うようになったケースも。

「自分たちを思ってくれる大人が、親や先生以外にもいる状況は子どもたちにものすごくプラス。それだけでなく、スタッフにとっては新しい視点をもらえるメリットがあります。職員同士のことでいえば、職種や組織の垣根を越えて助け合えるようにもなって。横に手をつなげていると感じます」(押切さん)

「顔の見える関係が、まちの安心にもつながっていく」と押切さん。
近い将来、保護者や大学生の有志を募り、夜に中学生向けの英語教室を開いたり、おばあちゃんたちがつくった惣菜や、子どもと親御さんたちで制作した雑貨類を販売するマルシェを催したりする計画もあるとか。

福祉に関わる人の強い思いと、それを絶妙に表現した建物が、まちに根差す一人ひとりのポテンシャルを引き出し、よりよい未来につながっていく――。難しそうで、でも不可能ではない法則を身をもって示してくれたといえるでしょう。

●取材協力
深川えんみち
NPO法人 地域で育つ元気な子
社会福祉法人 聖救主福祉会
JAMZA 一級建築士事務所
LAND FES DIVERSITY深川

(文/星野真希子)

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『SUUMOジャーナル』編集部

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