多世代が集う「ボーダーレス福祉施設」に見る未来 グッドデザイン金賞受賞の「深川えんみち」


夜間の学習支援やマルシェも計画中
「深川えんみち」では、まちの人たちとのつき合いも生まれています。「エンミチ文庫」での立ち話から、商店街にある寿司屋の店主に、児童に包丁の使い方を教えるワークショップを開いてもらうことになったり、紙芝居を披露してくれる人が現れたり。これから子どもを迎える夫妻が、「子育てひろば」に通うようになったケースも。
「自分たちを思ってくれる大人が、親や先生以外にもいる状況は子どもたちにものすごくプラス。それだけでなく、スタッフにとっては新しい視点をもらえるメリットがあります。職員同士のことでいえば、職種や組織の垣根を越えて助け合えるようにもなって。横に手をつなげていると感じます」(押切さん)
「顔の見える関係が、まちの安心にもつながっていく」と押切さん。
近い将来、保護者や大学生の有志を募り、夜に中学生向けの英語教室を開いたり、おばあちゃんたちがつくった惣菜や、子どもと親御さんたちで制作した雑貨類を販売するマルシェを催したりする計画もあるとか。
福祉に関わる人の強い思いと、それを絶妙に表現した建物が、まちに根差す一人ひとりのポテンシャルを引き出し、よりよい未来につながっていく――。難しそうで、でも不可能ではない法則を身をもって示してくれたといえるでしょう。
(文/星野真希子)
SUUMOジャーナルの関連記事
●障がいのある子もない子も一緒に遊べる遊具が話題! ふしぎな形、ユニークな動き、どうやって生まれた? 「レジリエンス プレイグラウンド」ジャクエツ/福井
●シャッター商店街を福祉施設に!? 子どもも高齢者も障がい者も、家族のように過ごす”街の家”「春日台センターセンター」神奈川県愛川町
●カフェスタッフが現役の医療従事者、健康相談もできると話題! 医療を身近に感じられるまちづくりも進行中 東京都府中市「FLAT STAND」 理学療法士・糟谷明範さん
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら