
「ソロ立ち」が高齢期の幸せの条件
鎌田:ぼくはね、高齢期を幸せに生きるかどうかは、「自己決定」が一番重要な気がしているんです。自分が働いて稼いできたお金をどう使うか、延命治療を受けるか受けないか、最期はどこでどんなふうに死にたいのか、そんな自己決定力は高齢者ほど必要になってくると思います。
荻原:同感です。私ね、70歳になってつくづく思うんです。人生の価値は、自分で決めて自分でやってきたことでつくられているんだなって。誰かに指示されたことをやり続けてきた人は、「自分で決める」「自分で選びとる」という力が弱いなあって感じることがあります。
鎌田:人の顔色をうかがってきた人は、とくにそうだよね。
荻原:私の周囲を見ると、定年退職したあとに無気力になってしまう男性がけっこう多いんですよ。「夫が家でずっとゲームばかりしている」「やたらと私の後ろをついて歩くようになって面倒くさい」っていう妻の声、けっこう聞きます。