荻原:「ソロ」で生きる練習ですね。でも、私の友人の中には「一人で出かけたいのに、だんなさんがついてきちゃう」っていう人もいるんですけど(笑)、それはどうしたらいいですか?
鎌田:じゃあ、とりあえずいっしょに出かけましょう。
たとえば夫婦で京都に行ったとしますよね。だんなさんはお寺に行きたい、奥さんは焼き物を買いたい。2人で両方に行くのではなくて、別行動するんです。午前中は別行動してランチで落ち合う。
そしてまた別行動して、夕方にホテルで集合。そうやって短時間でも「ソロ活」をしていけば、いつの間にか「ソロ立ち」できる関係をつくれるようになると思うんです。
荻原:いいですね、熟年離婚も避けられそうです(笑)。
鎌田:あとは奥さんのほうが勝手に「ソロ活」しちゃうんです。「毎週○曜日は主婦をお休みしますので、3食は全部自分で作ってくださいね」って。
そうすれば、だんなさんも自分で何か作るかもしれないし、ご近所の食堂を開拓するかもしれない。
荻原:面倒を見すぎない、甘やかさないってことですね。
鎌田:一人でいる時間が増えれば、家族や職場の人間関係だけじゃない、ゆるやかな友だち関係が生まれると思います。ぼくはそれを「ゆる友」って呼んでいるんですが、そういう関係性の人がご近所にいるって、とても大事だと思います。
「一人だから寂しい」なんて決めつけない
鎌田:一人暮らしの日本人って、すごく増えているでしょう? 国勢調査によると、男性の3割、女性の2割は生涯未婚です。年間約47万組が結婚しますが、約18万組が離婚しています(2023年 人口動態調査)。
最も多いのは単独世帯で、38%を占めます。高齢者だけで見ると19%、5人に1人は単独世帯です。
荻原:どちらかに先立たれれば、どうしても一人暮らしになりますしね。
鎌田:高齢者の一人暮らしって、どうしても「寂しいのではないか」と思われがちです。でもぼくは、寂しさよりも満足度のほうが大切だと思うんです。ある調査では、高齢者は夫婦で暮らしている人よりも、一人暮らしの人のほうが満足度が高いことがわかっています。
荻原:そうなんですね。
鎌田:たとえば、高齢になっても「できるだけ自宅で暮らしたい」と思っている人は多いですよね。でも病気になって体が不自由になったりすると、いっしょに暮らす家族に負担がかかる。「申し訳ないから」って施設に入る人はすごく多いんです。
でも一人暮らしなら、介護保険を使って要介護2くらいまでは家にいられる。それ以上でもいけるかもしれない。気兼ねはいらないですからね。
荻原:確かにそうですね。ソロ立ちしている人にとっては、「一人だからかわいそう」っていうわけではないということですね。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら