最期は一人!「ソロ立ち」で幸せに生きる老後を 「自分で決める・選ぶ」力は高齢者ほど必要だ

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

鎌田:それを聞いて思い出した。女性はだんなさんが亡くなると長生きするけど、男性は奥さんが亡くなると長生きできないっていうデータがあるんです。

荻原:知り合いの保険会社の人も言っていました。妻を亡くした夫は、そのときは割と冷静なんですって。でも、半年くらいするとろうそくの火が消えるみたいに、ふ~っと亡くなるケースが少なくないそうです。

一方で、夫を亡くした奥さんは「どうして私を置いて逝(い)ってしまったの!」って棺(ひつぎ)にすがって泣いたりするんですけど、半年後にはすっかり元気。ご主人の生命保険も入るから、「ここからが、わが世の春!」みたいになる人もいるそうです(笑)。

もちろん人によって違うと思いますけど、男性にもそれくらいのタフさをもってほしい。

鎌田:そうそう。明るく元気に生きたって、亡くなった配偶者をないがしろにしているわけじゃないんですから。男性も「ここから新しい人生を始めよう」くらいに思ってほしいですよ。

荻原:なぜそれができないんでしょうか。

鎌田:知らず知らずのうちに相手に寄りかかっていたのでしょうね。とくにぼくらの世代は、「妻がいないと靴下の場所もわからない」っていう男性も少なくない。だから定年退職を機に「ソロ立ち」することが大切なんです。

最期は一人だから「ソロ」で生きる

荻原:「ソロ活」は聞いたことがありますが、「ソロ立ち」とはどういう意味ですか?

鎌田:ぼくがつくった言葉です。一人ひとりが本来の自分らしさみたいなものをちゃんと自覚して、「自分はこうしたい」「こう生きたい」という自己決定力をもつことを「ソロ立ち」と名づけたんです。

荻原:なるほど! 「ソロ立ち」……いい言葉です。

鎌田:誰だって、命の最期は個人戦です。どんなに仲のいい夫婦でも、亡くなるときは一人。夫婦だから、親子だから、最期はなんとかしてくれるだろうなんて思わないことです。どんな治療を受けたいか、どこでどんな最期を迎えたいか、自分で選ぶことが大切なんです。

それもあって『鎌田式おきらくハッピーエンディングノート』(家の光協会)を出版しました。名前はエンディングノートなんですが、やりたいことを書く欄が多くて、実際には「リビングノート」なんですけどね。

荻原:自分がどうしたいかがわからない、っていう人も少なくないですよ。

鎌田:そういう人は「ソロ活」から始めるといいと思います。一人で映画を見るとか、一人で美術館に行くとか。友だちや家族といっしょだと相手の好みに合わせちゃうんだけど、一人だと「自分はどの映画を見たいんだろう」と考えるでしょ?

これは小さいけれど、確かな自己決定です。その積み重ねの先に、自分の人生の決断をする力がついてくるんじゃないかと思います。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事