韓国語の「辛い」は約20種!言葉の解像度の地域差 フィンランドの「雪」は約40種、日本語に多いのは?

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一般に日本語の「いい(良い)」は英語では「good」、フランス語では「bon」と訳されることが多いですが、当然ながらこの3つも、数学的なイコールで結ばれている関係性ではありません。日本人にとっての「良」の意を示す語として、比較的近い意味を持つという理由で便宜的にくっつけて整理されているだけなのです。

ちなみに、引っ越し作業などで大きな荷物の受け渡しをするとき、日本語だと、受け取る側が「いいよー」などといったりしますが、アメリカ人はそんなときに「good」とはいいません。ところがフランス語では「大丈夫だよ」の意味で「c’est bon(セボン)」と返したりしますので、その部分においては「いい」と「bon」は共通していることになります。

つまり、異なる言葉の持つ意味の範疇が重なる部分とそうでない部分があるということです。そのうえで、「いい」「good」「bon」においては、肝となる「良」という意味の部分が重なるがゆえ、この3語を私たちは「同じ意味の単語」として整理しているわけです。

そういえば以前、日本語を覚えたての英語圏の方と話していたとき、その人が手に食べ物を持ち、それを指さしながら「年寄り」といったことがありました。最初は一体何のことかと思ったのですが、その人は「古い」といいたかったのです。「これ、もう古いみたいだから、食べないほうがいいよね」と伝えるつもりで、英語の「old」を日本語の「高齢」の意味に訳してしまったようです。

もちろん、これはひとつの笑い話ですが、「old」と「古い」はイコールではないことがわかります。

いずれにせよ、言葉とは可能な限り精緻に理解して使うのが理想です。「木」と「wood」を単純に同じ意味として括ることなく、差異を明確に区別する。それが正しい言語化に繫がるのです。

言葉の解像度は、言語によって異なる

このように、コミュニティによって言葉の精度や解釈の深さは異なり、それぞれ独自の文化や価値観が反映されます。唐辛子の消費量が日本より遥かに多い韓国では、日本語の「辛い」に相当する言葉が20種ほどあるといいます。

「口から火の出る辛さ」「じわじわと来る辛さ」「口内がスーッとする辛さ」など、食材ごとの味わいにより細かく使い分けられています。ニンニクの辛さと生姜の辛さも別の単語を使うことが多いといいます。

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