「雅叙園」一方的キャンセルが罪深い"4つの理由" キャンセルされた客への「10万円の迷惑料」は妥当?
たとえば、9月までの予約をしていた人の中にも、「休館やリニューアルの予定があることを聞いていたら、縁起が悪いから予約なんてしなかった」という人もいるのではないでしょうか。さらに今回の件で雅叙園の印象が悪化したことで「自分の結婚式にもケチをつけられた」と感じている2~9月の式場予約者がいてもおかしくないのです。
日本の文化をどう守るか
建物の所有者となったカナダの投資会社「ブルックフィールド・アセット・マネジメント」は、ここまでコメントを発表していません。
あらためて雅叙園の歴史を振り返ると、2002年に883億円の負債を抱えて経営破綻し、アメリカの投資ファンドが買収。その後、所有者を転々としながら2017年に「目黒雅叙園」から「ホテル雅叙園東京」に改名し、今年1月にブルックフィールドなどが建物の所有権を取得するという経緯がありました。
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実はそれだけ経営が不安定だったからこそビジネスライクに見える今回の決断に至ったのかもしれません。ただ、それを「予約者たちの調査不足」と言って切り捨てるのは酷な感があります。
ここまであげてきた4つのポイントを踏まえると、「雅叙園が責任を持って代わりの式場を探す」「もし高額になった場合は差額を払う」などの誠意ある対応を求めたいところですが、現実的には難しいのではないでしょうか。
結婚式をめぐる状況としては「婚姻数も結婚式をあげる人も減っている」という厳しい現実があるのは確かでしょう。しかし、もし雅叙園が今後インバウンド需要を重視した外国人向けの超高級ホテルになっていくとしたら、日本人にとって歓迎すべきこととはいいづらいところがあります。
結婚式場として培ってきた伝統や実績を手放すことは仕方がないとしても、日本人の信頼を失ってしまうことは長い目で見たら得策なのか。日本の大切な建築物や文化を外国からどのように守っていけばいいのか。結婚式の当事者ではない私たちにとっても考えさせられるニュースなのです。
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