くら寿司「1000円ホールケーキ」一体なにが凄いか 大反響「プレゼントシステム」の知られざる秘話

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昔話を思い浮かべてみてください、と辻さん。

たとえば桃太郎は、落ちていた桃を拾うのではなく、「どんぶらこ、どんぶらこ」と川上から流れてくる。いわば「古来のサプライズ演出」だ。このアナログなワクワク感こそ、くら寿司が大切にしているものなのだ。

根底には、「お客様に楽しんでほしい、驚いてほしい」という、田中社長のサービス精神があるという。「くら寿司は、なんかいつも変なことしている」というイメージをゲストに持たせ続けたい、とも。

田中社長はよく、「我々は外食企業の前に、人を楽しませるサービス業である」「くら寿司が目指すのは、ただのレストランではなく食のテーマパークである」と言うそうだ。

くら寿司 ホールケーキ
ホールケーキには、これまでの回転寿司にはなかったワクワク感が感じられる(写真提供:くら寿司)

ちなみに、「プレゼントシステム」開発を担当したDX本部は、タッチパネルのオーダーやアプリ予約サービスなど、最先端テクノロジーを駆使したシステムを構築している部署だ。アナログな開発への抵抗感はなかったのだろうか。

「たしかに、IT系やテクノロジーを手がける人にすると、何作ってんねんという部分はあるかもしれない」と辻さんは苦笑するが、「サプライズ感があって、なんか楽しい雰囲気で」と、仕掛けはDX本部に一任されたという。

というのもDX本部内には、くら寿司の風土をよく知る店長経験者がいる。だからこそ、期待に応えるシステムが完成したのだ。一見アナログだが、「注文者のテーブルについたらケースがパカッと開く」演出などにITも駆使されている。すぐ取らずにもたもたしていたら流れていってしまうところも、回転寿司の良さを損なわない設計なのだとか。

一方で食材ロスには注意が必要

取材時で導入から4カ月、「プレゼントシステム」は想定していたよりも評判が良く、特に都市部で売れているそうだ。ただし、材料の在庫が必要で、売れ行きが悪いとロスが生じてしまうため、2月17日時点で68店舗にいったん整理し、ゲストの反響を見て拡大を検討する予定とのこと。クリスマスは需要が高かったので、ひなまつりなど、季節行事に合わせての展開も考えている。

くら寿司 たっぷりフルーツのプリンアラモード
「プレゼントシステム」で登場するメニューの1つ、「たっぷりフルーツのプリンアラモード」(写真提供:くら寿司)
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