なお、「余剰ブドウ糖→中性脂肪」の変換において、指令役のような役割を果たしているのがインスリンです。
インスリンは「血糖値を下げるホルモン」として広く知られていますが、じつは「余剰ブドウ糖の中性脂肪変換を促進する」という「もうひとつの顔」を持っています。つまり、普段から糖質をたくさん摂ってしょっちゅう高血糖状態になっていると、その都度インスリンが出て「余っているブドウ糖を中性脂肪に変えろ」という指令をひっきりなしに発しているのです。
ですから、インスリンが出れば出るほど肥満や脂肪肝が進んでしまうと言ってよく、このためインスリンは「肥満ホルモン」「脂肪化ホルモン」などといった呼ばれ方をする場合もあります。
普通の食事をしていても糖質過剰摂取に
要するに、「糖質の過剰摂取」→「慢性的高血糖」→「インスリンの大量分泌」→「ブドウ糖の中性脂肪変換が進む」→「肝臓などへ脂肪が蓄積」という流れができてしまうのがいけないわけです。
そこで考えてみてください。みなさんは、普段の生活で知らず知らずのうちにかなりの量の糖質を口にしてはいないでしょうか。
ごはんを食べた後に「別腹」と言って甘いものや果物を食べてはいないでしょうか。
のどが渇いたときに甘いジュースやスポーツドリンクを飲んではいないでしょうか。
回転寿司で山のようにお皿を積み上げてはいないでしょうか。アメやグミをしょっちゅう口に放り込んではいないでしょうか。
スナック菓子を食べ続けて一袋空けてしまうことはないでしょうか。
焼き肉のたれやドレッシングなどの糖分の多い調味料を頻繁に使ってはいないでしょうか。
きっと、普段の食生活を振り返ってみて、「自分もかなり糖質過剰になっているかも……」と思った方はかなり多いはずです。
先にも述べたように、現代では主食以外の部分で無意識に摂っている糖質量が多く、誰もが糖質の摂りすぎになるリスクがあります。
おそらく、「自分の食事は健康的だと思っている」という人でも、気づかないうちに糖質の過剰摂取になっているかもしれません。
いまの日本では、別に食べすぎもせず、ぜいたくもせず、ごく庶民的な普通の食生活をしていたとしても糖質の摂りすぎで脂肪肝になってしまうケースが少なくないのです。
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