まず、とても多くの方が思い込んでいる間違いを指摘しておきましょう。それは「脂肪肝は脂肪の摂りすぎで起こる」というものです。
「脂肪肝っていう名前がついてるから、脂肪の摂りすぎが原因なんだろう。だから、脂っこい肉料理とか揚げ物とか天ぷらとかの脂肪の多いものを控えればいいんじゃないか」というわけですね。
でも、これは大きな誤解。脂肪肝の形成に「脂肪の摂りすぎ」はほとんど関係ありません。口から入る脂肪の量は気にしなくてOK。脂肪肝の人や脂肪肝が心配な人も、肉や揚げ物などの脂っこいものを控える必要はまったくありません。
「主食以外の糖質の量」が増えている
では、いったい何が脂肪肝の原因なのか。その最大の原因は「糖質の摂りすぎ」です。
みなさんご存じのように、糖質が多いのは、ごはん、パン、麺類などの主食です。それに、現代では、果物、甘い飲み物、スナック菓子、調味料などによって入ってくる糖質の量がたいへん増えています。つまり、主食だけでなく、主食以外の部分で無意識に摂ってしまっている糖質量がかなり多く、いまの時代は誰もが「糖質過剰」に陥りかねない状況になっているのです。
糖質は、体内に入るとまずブドウ糖に分解されます。血中のブドウ糖は全身を巡り、インスリンの働きにより細胞のエネルギーとして利用されます。また、エネルギーとして利用されずに余ったブドウ糖は、肝臓においてグリコーゲンに合成されて肝臓内や筋肉内に貯蔵されます。ただ、このグリコーゲンの貯蔵庫は一時しのぎ用であり、そうたくさんの量はためられません。
それでは、どっとたくさんの糖質が入ってきて、グリコーゲンの貯蔵庫がすでに満杯のとき、血中に余った糖質はどうなるのでしょう。すなわち、それらの余剰ブドウ糖が、肝臓において中性脂肪に変換されているのです。
ですから、日々大量の糖質が入ってきて、常にブドウ糖があり余っているような状況だと、それらのブドウ糖がどんどん中性脂肪に変換されて、肝臓、内臓周り(内臓脂肪)、皮下(皮下脂肪)などに蓄積されていくことに……。このため、普段から糖質を摂りすぎていると、体各部にじわじわと脂肪が蓄積して、てきめんに肥満や脂肪肝が進んでしまうことになるわけです。
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