函館市の将来を握る「未来シェア」のAIシステム 人口減と高齢化で変わる「公共交通」のあり方

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また「市街部の路線バスがわかりにくいという課題が残っている」(交通政策課・渡辺大輝課長)という。バスの系統が複雑で、函館市民であっても日頃から路線バスに乗り慣れていなければ、目的地への最適ルートがわかりにくい。

さらに、バスやタクシーのドライバーが高齢化し、担い手が不足しているなど、全国各地が直面している地域公共交通に対する課題が函館市にもある。

そこで函館市地域公共交通計画では、「目指すべき将来の公共交通ネットワーク」のイメージ図を公開している。

未来シェアの「AIオンデマンド交通」システム

人口が多い中央部地区には交通の拠点となる結節点を設けて、他の地区との交通をつなぎ、東部地区では、地区内での中距離移動を拡充するというものだ。

こうしたイメージを頭に入れながら函館市全域を俯瞰すると、中央部地区には「コンパクトシティ」としての要素があるように見える。

函館市の「目指すべき将来の公共交通ネットワーク」(全域)イメージ (函館市地域公共交通計画資料より)
函館市の「目指すべき将来の公共交通ネットワーク」(全域)イメージ (函館市地域公共交通計画資料より)

そこで考えられるのは、自分が今いる場所から行きたい場所までピンポイントで移動できる「ドア・ツー・ドア」型AIオンデマンド交通の需要が、高まる可能性だ。

今回、実証を行っている西部地区は坂道が多く、また高齢化率が45.0%と、市の平均である37.2%を上回る速さで進行していることを踏まえると、地域全体のAIオンデマンド交通のあり方を検証する、いいきっかけではないだろうか。

交通政策課・主任主事の佐々木健人氏によれば、函館市が事前に実施した各所での住民説明会では、「利用してみたい」といったポジティブな声が多かったという。

実証の実施主体は、函館市地域公共交通協議会で、函館市は同協議会と連携し負担金を支出。実際の運行は、市内のタクシー事業者に委託する。また、地域内商業施設の5店舗が、チラシ・ポスター・アンケート回収箱の設置等で協力する。

そして、AIオンデマンド交通のキモであるシステムを提供するのが、未来シェアだ。

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