
「AIオンデマンド交通」が全国で広がりをみせている。
人工知能(AI)を活用して、複数のデマンド(移動の要求)を効率的に配車する乗り合いタクシーや小型バス等を指す。
ただし、AIオンデマンド交通における「AIの定義」はない。
システムおよびサービス事業者は近年増加しているが、中にはサービスを実際に使う地方自治体や交通事業者との間で、システムの改善に対する意識のズレがあるケースも見受けられる。
人口減少、少子高齢化、そしてオーバーツーリズムなど、日本が直面しているさまざまな社会課題の中で、地域交通を最適化する可能性を秘めている、AIオンデマンド交通。その将来性について、今回は北海道・函館市の事例を見ながら考察してみたい。
「ずっと続けてほしい」(80代女性)との声も
筆者は2025年1月中旬、函館空港からタイムズカーで日産「ノート」を借りてAIオンデマンド交通実証の運行エリアである、函館市西部地区に向かった。
すると、まさに実証の最中にある、AIオンデマンド交通の乗り合いタクシーに遭遇した。

場所は、「函館市谷地頭老人福祉センター」の前。車両のドライバーと降車した女性に、筆者はこれから函館市役所に出向き、AIオンデマンド交通に関する取材をする旨を伝え、話を聞いた。
女性は西部地区在住の80代で、免許取得の経験はない。AIオンデマンド交通は、地区内各所の移動でとても重宝しており「役場の方には、ぜひこれをずっと続けるように伝えてほしい」と頼まれた。
実証の期間は、2024年10月から2025年2月。時間は朝9時から夕方4時半まで。利用料金は1回300円。
システムは、公立はこだて未来大学発のベンチャー企業「未来シェア」のSAVS(スマート・アクセス・ビークル・サービス)を使う。

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