函館市の将来を握る「未来シェア」のAIシステム 人口減と高齢化で変わる「公共交通」のあり方

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採用の理由について、同協議会は「公立はこだて未来大学発の市内企業であり、すでに同大学が主体となる数度の実証実験を市内で実施済みであること、結果検証に関するシミュレーションが可能であることを評価した」としている。

ちなみに、公立はこだて未来大学は、システム情報科学部の1学部からなる単科大学だ。

日本を代表する2人の人工知能研究者

未来シェアは、2016年7月に設立。SAVSは、2001年に行われた産業技術総合研究所へのデマンドバス配車シミュレーション研究を起点として始まった。

その後、公立はこだて未来大学にNPO法人「スマートシティはこだて」を設立して各種の実証を行い、未来シェア設立へとつながっている。

公立はこだて未来大学は2000年度に開学した比較的、新しい大学(筆者撮影)
公立はこだて未来大学は2000年度に開学した比較的、新しい大学(筆者撮影)

取締役会長は2人。中島秀之氏は、公立はこだて未来大学の名誉学長であり、札幌市立大学の学長でもある人物。もう1人の松原仁氏は、公立はこだて未来大学の副学長や人工知能学会会長を歴任し、現在は京都橘大学工学部教授を務める。2人とも、日本を代表する人工知能の研究者なのだ。

事業を取りまとめる代表取締役は、北海道出身の松舘渉氏。未来シェアについては、設立して間もないころに取材した経験があるが、それからかなり期間が空いたため、今回は改めて松舘氏に同社事業の現状とこれからについて話を聞いた。

同社が提供するSAVSとは、人や物の移動要求に対して、AIが完全自動で便乗配車計算を行うクラウドサービスだ。

全車両の座席数を有効活用することにより、乗車待ち時間と乗車時間、総走行距離を最小化する。また、平均1秒以内の高速リアルタイム配車計算で、全トリップの乗降予定時刻を高精度に予測することが可能となっている。

こうしたサービスは、海外ではアメリカのViaが日本を含めてグローバルで、またシンガポールのSWATがアジアで事業展開中だ。

日本でも、三菱商事がカナダのシステム関連企業に投資して、九州の交通事業大手である西鉄とのジョイントベンチャーとした、ネクストモビリティ(サービス名:のるーと)などがある。

次ページポイントは「APIの公開」にある
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