函館市の将来を握る「未来シェア」のAIシステム 人口減と高齢化で変わる「公共交通」のあり方

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そうした中で未来シェアのSAVSは「純日本」といえる存在だ。実証運行実績は全国100エリア以上あり、すでに50エリア以上で実用化されている。

以下はその一例である(すべて2025年2月11日現在)。

■茨城県常陸太田市:乗り合いタクシー
台数:10台/エリア:市内全域/料金:定額400円
■長野県伊那市:ぐるっとタクシー
台数:12台/エリア:市中心部と6エリア/料金:定額500円
■広島県北広島町:ホープタクシー
台数:10台/エリア:町内全域・移動エリア制限/料金:定額500円
■福岡県福智町:ふく〜るバス
台数5台/エリア:ミーティングポイント方式/料金:町内全域定額200円

松舘氏は「個別にカスタマイズすることはあまりなく、大抵の要望には対応できる仕組みを構築できている」という。要望が多い要件向けを優先して開発してきたことで、実用性が高いシステムに仕上がっているのだ。

未来シェアの事業の特徴は、アプリのUI(ユーザーインターフェイス)やAPI(Application Programming Interface)の多くを、公開していることだ。「そうした領域の事業は専門企業に任せ、我々はプラットフォームの開発に注力する」と松舘氏は説明する。

具体的な事業としては、SAVSのライセンス販売となる。

未来シェア「SAVS」システムの基本構成(未来シェアの資料より)
未来シェア「SAVS」システムの基本構成(未来シェアの資料より)

SAVSの開発は、各地の生データを活用しながら、仮想空間でのシミュレーションでの検証によってアルゴリズムを進化させる方法をとる。アルゴリズム進化の速さが、未来シェアの強みなのだ。

未来予想の精度を上げつつ

「地域交通を最適化・効率化することが当たり前の世の中に」と松舘氏はいう。そのためには、シミュレーション技術の重要度がさらに高くなるだろう。

交通の流れの「未来予想」精度を上げることで、社会変化に対する地域住民の心構えや、積極的に変化を受け入れる心持ちを創生し、地域活性化につながることを期待する。

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とはいえ、データ最優先だけでは人の生活は変わらないし、そうあるべきではないと筆者は思う。データや、それにともなうシミュレーションは、あくまでも社会変化に向けたひとつの手段であるべきだ。

人口減少や高齢化が進む函館市が、これからどうなっていくのか。地域公共交通の変化から、定点観測を続けていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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