出版不況に「超豪華な無料雑誌」京都で爆誕のワケ 紙にこだわる大垣書店が勝算見込んだ本屋の未来

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『Leaf』に関わったスタッフも交え、『KYOTOZINE』制作がはじまり、27年培った『Leaf』のノウハウと、京都で生まれ、京都の住人たちに馴染み深い大垣書店(1942年に京都で開業、京都府内では24店舗)のネットワークが合わさって、新たな雑誌が誕生した。

「京都の生活スタイルが一通り入っているものにしたいと考えました。京都生活のバイブルになったらいいなと。背表紙をつけたのは、今後、20号、30号と続けていったときに、『京都生活全集』のような存在となるように、本棚にずらりと並ぶことを目指したからです」

タウン誌というと、情報の鮮度が命で、シーズンごとに新たな情報が入ったものに足早に入れ替わっていくイメージがある。『KYOTOZINE』は長期的な視点のもと、本棚にずっと残しておきたくなるようなアーカイブ性の高い内容を意識した。

「賞味期限のないものーー本屋が作る雑誌はそうあるべきではないか、それが本屋の仕事だと僕らは考えています。トレンド系の雑誌だと、いまやウェブには速度や情報量では勝てない。それに対抗できるのは、わざわざ紙で買う意味のある、家に長く置いてもらえる、雑誌というより本に近いものであると」

大垣書店
大垣書店が手がける『KYOTOZINE』(右)と『羅』(筆者撮影)
大垣書店
大垣書店の入り口には『KYOTOZINE』と『羅』の第2号が並ぶ(筆者撮影)

「ド直球な雑誌タイトル」をつけた理由

タイトルが『KYOTOZINE』というド直球なものであることも注目だ。

「京都の人間がわざわざ『京都』と名付けた商品を作ることって、あまりないことだと思うんですよ(笑)。タイトルを決めるにあたり、『BUBU』も候補にあがりました」

ブブ漬けの「BUBU」とはずいぶん洒落が効いている。

「聞いたことはあるけれど、意味はよくわかっていないという言葉をタイトルにしたら面白いんじゃないかと思ったのと、響きは京都っぽいということで、遊び心のある名前をつける方向性も検討しました。

結果的に京都のMAGAZINE――『KYOTOZINE』という名前に落ち着いたのは、テレビ局だったらKBS京都、新聞だったら京都新聞、ラジオだったらアルファステーションFM京都と、京都のメディアを代表するものには『京都』がついている。大垣書店から出す雑誌も京都と名付けることで、京都に暮らす人たちの生活の一部になるようなもの、半ばインフラを作ろうという気持ちなんです」

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