「脂肪肝」がとても怖ろしい病気である3つの理由 放置すると重大疾患を招き寄せる"身近な病気"

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次に「②脂肪肝炎を起こすと、肝硬変や肝臓がんのリスクが高まる」です。

脂肪肝のうち、1~2割の人は「脂肪肝炎」に移行するとされています。これは名称からわかるように、肝臓に進行性の炎症が発生してしまった状態。この脂肪肝炎を放っていると、じわじわと線維化が進んでしまい、数年から十数年の時間をかけて肝硬変に進行するとされているのです。

肝硬変は、肝臓内に線維組織が増殖して肝臓がカチカチに硬くなる疾患です。脂肪肝炎や肝硬変初期の段階ではまだ無症状なのですが、肝硬変が中期まで進むと、黄疸、むくみ、腹水、だるさなどの症状が現れます。しかし、こうした症状が出てきたときには手遅れであり、肝機能を健常に戻すことはもう不可能。そのまま悪化すれば、命が危ぶまれるようになります。

また、肝硬変になると、肝臓がんの発症リスクも高まり、がんになれば当然、命を失う可能性が高くなります。すなわち、脂肪肝を甘く見て放っていると、最悪の場合、「脂肪肝→脂肪肝炎→肝硬変→肝臓がん」という流れにハマり、命を縮めることになりかねないわけです。

「脂肪肝」放置は約10年後に糖尿病を招く

最後は「③糖尿病を引き起こし、多くの重大な疾患の発生源となる」です。

まず、脂肪肝と糖尿病の関係について簡単に説明しておきましょう。

脂肪肝を放っていると、代謝機能が落ちて糖のコントロールがうまくできなくなり、糖質の摂取後、慢性的に高血糖になることが多くなります。すると、膵臓から分泌されるのがインスリンです。インスリンには血糖値を下げるだけでなく、余分な糖質を中性脂肪に変換する働きがあり、これにより脂肪がどんどんつくられていくようになります

血糖値の急上昇→インスリンの大量分泌→中性脂肪の生成促進」という流れが繰り返され、肝臓などへの脂肪蓄積が進んでしまうわけです。

さらに、この困った状態に拍車をかけるのが「インスリン抵抗性」です。これは、インスリンが効きにくくなって、細胞にブドウ糖を送り込むことができず、血糖値がなかなか下がらなくなる状態のこと。この状態になると、糖が減らずに脂肪だけが増え続けるという悪循環に陥り、じわじわと糖尿病が進んでいってしまうようになるのです。

いまでは、脂肪肝を放置していると、約10年後には糖尿病発症に至るというのが定説になっています。すなわち、糖尿病になるのは、脂肪肝の体内状況悪化を長年放置してしまったツケだとも言えるのです。

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