「中東の近代化」日本との共通点で見えること 歴史を通して緊迫する中東情勢の今を考える

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西洋との遭遇を技術の受容という観点から見るとすれば、アラブ世界、もっと広く言えば中東も日本とよく似た体験をしている。ただし、中東は地理的にヨーロッパとは地中海を挟んだ裏庭的な位置にあることもあり、西洋との遭遇は時期的には日本より半世紀近く早いのである。

出発点は似ていたエジプトと日本だが

『日本人のための「中東」近現代史』(角川ソフィア文庫)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

エジプトと日本の両者の出発点は似ていたが、その後の過程は大きくかけ離れていった。中東においても、西洋の圧倒的な技術力を前にどのように対応するかということで、様々な議論が起こり、実際に改革も行なわれた。

しかし、結果的にはそのような試みは失敗して植民地化されていった。対照的に、日本の場合は独立を保ち、むしろ逆に明治以降は列強諸国の仲間に入っていった。2つの国の分かれ目はどこにあるのか? この問いが、19世紀における開国という事態を考える際に非常に重要になる。

実際に現地の人たちの間でも、なぜ日本が「近代化(西洋化)」に成功し、中東は失敗したのか、と対比されて問題が語られることもあることを改めて強調しておきたい。

臼杵 陽 日本女子大学教授

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うすき あきら / Akira Usuki

1956年、大分県生まれ。在ヨルダン日本国大使館専門調査員、佐賀大学助教授、国立民族学博物館教授を経て、日本女子大学教授。博士(地域研究)。著書に『イスラエル』(岩波新書)、『世界史の中のパレスチナ問題』(講談社現代新書)、『日本人にとってエルサレムとは何か』(ミネルヴァ書房)、『「ユダヤ」の世界史』(作品社)、『日本人のための「中東」近現代史』(角川ソフィア文庫)など。

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