リストラから奮起「プロレス美術館」作る60歳人生 自宅の一室をプロレス愛と熱狂が詰まった空間に

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ここでふと、湯沢さんにあるアイディアが浮かんだ。それは、新築の一室を「プロレスの小部屋」にすること。

せっかく新しい家を建てるなら、今まで集めてきたプロレス雑誌や大会のポスターを並べる趣味部屋を作り、この部屋をモチベーションに、ローンを返済し続ければいいのではないか。

就職難のなかリストラ、苦難は続く

あとは仕事を頑張っていこう。そう決意して家の建て直しをして、プロレスの趣味部屋を作った。しかしその直後、今度は湯沢さんが新卒から働き続けていた会社からリストラされてしまう。バブルを過ぎた頃から会社の業績も右肩下がりの状態が続いており、湯沢さんを含む社員のリストラが始まったのだ。

ローンを抱えていることもあり、すぐにでも再就職先を探さなくてはいけない。ところが、当時は1999年、この頃は大学に出ていても就職先がなかなか見つからず、新卒学生が「就職氷河期世代」「ロスジェネ世代」と言われた時代だった。

湯沢さんは必死になって就職活動に取り組むも、うまくいかない日々が続く。

「再就職ができず、もうなんか悲しくなってきましてね。サラリーマン時代の貯金は多少なりともありましたし、もうヤケクソになりまして。一旦頭を切り替えて、プロレス部屋を展示室からプロレス会場に進化させようと思ったんです」

ミニチュアのプロレスリング
3カ月かけて手作りで完成したミニチュアのリング(写真:著者撮影)

仕事は見つからないが、人生が終わったわけではない。時間の余裕を生かして、プロレス部屋をグレードアップする方向に舵をとった。

天井には照明を設置し、部屋の中心にはリングを設置。さらには場外マットやフェンス、入場ゲートまで作り上げ、趣味だった小部屋は1年かけてプロレス会場へと進化した。

湯沢利彦さん
プロレス美術館が開館したての頃の一枚(写真:著者撮影)
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