「女帝逮捕」東京女子医大の再生は可能なのか 新理事長と学長が単独インタビューに応じる

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清水理事長ついに警察の捜査で、背任容疑が固まったということですね。女子医大が新しく生まれ変わるには、社会の信頼を得ていかなければなりませんが、この事件によって再び厳しい目が向けられる。それを私たちは受け止めなければならない。逮捕当日は記者会見を開いて、現経営陣として謝罪しました。

山中学長創業家との決別という意味では、岩本容疑者の逮捕は悪いことではないと思います。新体制の女子医大が、警視庁に情報提供など最大限の協力をしているのも、できるだけ早く全貌を解明していただくことによって女子医大が本当に脱皮できる、と思うからです。

岩本容疑者は女子医大を卒業後、自ら経営する産婦人科クリニックで診療に当たっており、大学での研究や教育の実績はほとんどない。いわゆる町医者の岩本容疑者が理事長になれたのは、創立者・吉岡彌生(やよい)の血族だったからだ。今回の逮捕で、女子医大の世襲制に終止符を打つという。

内部告発で懲戒解雇された職員の処遇 

女子医大を舞台にした巨額の不正事件には、内部告発が重要な役割を果たしている。

取材に応える東京女子医科大学の清水治理事長(左)と山中寿学長(右) (撮影:岩澤倫彦事務所)

2022年3月、女子医大職員の2人が筆者に内部告発を行い、翌月21日発売の「週刊文春」で、岩本容疑者の「疑惑のカネ」報道が実現した。

文春報道の1週間後、女子医大は2人を「情報漏洩」を理由に、懲戒解雇する。身分回復を求めて2人が東京地裁に提訴すると、女子医大は2人に2750万円の損害賠償を求め反訴した。組織力と資金力を使った強権的な姿勢に、2人は恐怖を感じたという。

2024年3月、警視庁は特別背任の容疑で女子医大や岩本容疑者の自宅などを家宅捜索。事態を重く見た文部科学省が、女子医大に第三者委員会による調査を指導する。

約4カ月かけて調査を行った第三者委員会は、女子医大に報告書を提出した。女子医大のガバナンスに大きな問題があったと指摘し、岩本容疑者に関する報道についてもおおむね真実性が高いと評価した。

岩本容疑者の不正を暴いた職員2人の内部告発は、公益性の高い行為だが、現在も女子医大は2人の懲戒解雇を取り消さず、職場復帰の希望も拒否している。就任して1カ月の清水理事長に一連の対応を尋ねた。

【東洋経済オンライン「有料版」のロングバージョンでは、内部告発で懲戒解雇された職員の処遇や、噂される早稲田大学との吸収合併説、今後の大学・病院経営の方針ついて聞いている】

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岩澤 倫彦 ジャーナリスト

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いわさわ・みちひこ / Michihiko Iwasawa

1966年、北海道・札幌生まれ。ジャーナリスト、ドキュメンタリー作家。報道番組ディレクターとして救急医療、脳死臓器移植などのテーマに携わり、「血液製剤のC型肝炎ウィルス混入」スクープで、新聞協会賞、米・ピーボディ賞。2016年、関西テレビ「ザ・ドキュメント 岐路に立つ胃がん検診」を監督。2020年4月、『やってはいけない、がん治療』(世界文化社)を刊行。近著に『がん「エセ医療」の罠』(文春新書)。

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