軽い気持ちで「チケット転売」推し活に潜むリスク 懲役刑や損害賠償を求められる可能性もある

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では、買う側は罪に問われることはないのだろうか?

「購入者は、不正転売を目的として買わない限りは法には触れない。単に行きたいから、という理由で購入しただけであれば、処罰されることはありません」(徳永弁護士)

「ただ、法律を犯していないことと、規約違反とは別の問題です。仲介サイトで買う行為も、定価で販売する行為も、興行主の定める禁止事項に抵触することが多い。

その場合、二度と当該興行主からチケットを購入できなくなったり、ファンクラブから除名されたりするリスクはある。大ファンなのに、その先一生推せなくなるわけですから、注意が必要です。

正規のリセール以外では、そもそも売るべきでも買うべきでもありません」

求められる転売対策

同法では興行主に対しても、不正転売を防止する措置を講じることが求められている。いまだ公式リセールがないケースもあり、求める声が上がるのは必然と言えよう。

だが、急病や急用で行けなくなったチケットを欲しい人に譲れるという点においては有用であっても、「いい席で見る」ことを目的に複数のチケットを入手しようとするファンが重複分をリセールに出す可能性は限りなく低く、それだけでは根本的な解決にはつながりそうもない。併せて入場時の本人確認も必要になるだろう。

例えば、長年人気を博し続けているサザンオールスターズやB’zは、申込者本人のみならず同行者も、顔写真付きの身分証明書による本人確認を徹底しているし、最近で言えば、人気グループWEST.の舞台やNumber_iのライブで本人確認が実施された。

公演によっては、事前に顔写真の登録を求めるケースも出てきている。

だが、リセールシステム採用にしても、本人確認実施にしても、転売対策のコストはチケット代金、つまりルールを厳守しているファンにも跳ね返ることになるから、興行主にとっても容易な決断ではないだろう。

一人ひとりが不正転売に加担しないという意思を持つことが何より重要だ。

抽選に外れてもどうしても会いたい気持ちも、いい席を求める気持ちも、わかる。

だが、そのために二度と推せなくなるリスクを冒すのか。それ以上に、ルールを破って参加した公演で、推しに正々堂々と顔向けできるのか。いま一度、各々の胸に問う必要がある。

(ライター・伊藤英里)

※AERA 2025年1月20日号

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