軽い気持ちで「チケット転売」推し活に潜むリスク 懲役刑や損害賠償を求められる可能性もある

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そもそもチケットの高額転売は、2019年に施行された「チケット不正転売禁止法」で禁じられている。

この問題に知見が深く、弁護経験もあるヴィクトワール法律事務所の徳永祐一弁護士は、同法について「一部の団体や個人が買い占めて高値で売る行為は、市場を歪ませる行為です。会場近くでチケットを高値で売るダフ屋行為を規制する法令は昔からありましたが、公共の場所以外、つまりネットなどでの転売行為が既存の法令では取り締まれなかったため、一般消費者や興行主の利益保護のために、新たにできた法律です」と説明する。

「興行主の事前の同意を得ない有償譲渡で、かつ興行主の販売価格を超えているものを不正転売と定義しています。

対象となるのは『特定興行入場券』のみですが、現在日本で販売されているコンサートや演劇などのチケットは基本的にこの法律に準拠していますので、ほぼ当てはまると言っていいでしょう」

だが実際、前述の仲介サイトを利用しているのは、“業”として大々的に行っているダフ屋や“転売ヤー”だけではない。

不正転売に関する法律相談を毎月のように受けるという徳永弁護士によれば、「過去の判例を見ても、アーティストのファンというケース、しかも20代30代の若い人が多い」というから驚かされる。

「大ファンだからこそ、少しでもいい席で見るために、大量のファンクラブ名義を所持して申し込み、当選したなかからベストな席を選ぶわけです。

そして自分が選ばなかった席を高値で売る。そういうケースが非常に多く見受けられます」

実際、同法の施行後、初の摘発者となったのは、当時24歳の女性だった。

判決文によれば、「アイドルグループの公演を良い席で見たいなどと考え、転売されているチケットを複数入手するなどした上で、偽造身分証明書を利用して公演に入場するほか、残りのチケットを転売」する行為を繰り返したという。

懲役刑や損害賠償を求められる可能性も

なかには利ざやを稼ぐ目的ではなく、定価にシステム使用料などの手数料のみを上乗せして出品しているケースも見られるが、徳永弁護士は「厳密に言えば、定価を超えていれば違法ということになる」と言う。

「また、継続的であることが要件ではないので、たとえ1枚でも、1回でも転売すれば、法には触れます。もちろん、継続性が高いほど、また金額が大きければ大きいほど、刑事裁判になり、懲役刑を受けるリスクは増大します」

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事