ファン心理を格好の餌食にする「転売ヤー」の実態 総額「600万円超」で仕入れられた"羽生グッズ"

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スマホを操作する女性
SNSでの情報のやりとりが身近になった今、転売のトラブルは後を絶ちません *写真はイメージ(写真:hellohello / PIXTA)
全国で社会問題になっている「転売ヤー」による買い占めと価格吊り上げの問題。彼らが転売するものは多岐にわたり、一部のファン層で熱烈な需要がある商品もターゲットとなる。
例えば北京五輪後に開かれた、フィギュアスケーター・羽生結弦さんの軌跡を伝える「羽生結弦展2022」では、会場で販売される限定グッズに人気が高まった。
当時はコロナ禍の最中で入場人数を制限。限られた予約枠を取り合ったのは純粋なファンだけではなかったようで……(本記事は、奥窪優木氏の新著『転売ヤー 闇の経済学』からの抜粋記事です)。
【次の記事】「ディズニーグッズ転売集団」密着して知った"闇"

中国のファンコミュニティで強いニーズを察知

日本橋髙島屋での羽生展の最終日、入場のための受付へと続く日本人マダムたちに紛れ、一人の中国人女性の姿があった。

在日中国人のL(30代)。アニメ関連グッズからアパレルブランドの限定商品など幅広いジャンルの転売を行っている。

L自身は、フィギュアスケートにも羽生にも全く興味がない。羽生グッズに目を付けたのは“マーケティング”の結果だった。

中国のSNS・微博には『超話』という機能がある。趣味や嗜好、悩みなど、ありとあらゆるテーマごとにコミュニティが作られており、参加者は自由に書き込みすることができる。

Lはかねてから、このコミュニティを転売ビジネスのマーケティングに利用している。アニメやアパレルブランド新商品の販売情報をいち早く得ることができ、またどのくらいの人がその商品に興味を持っているか、需要の規模も手に取るようにわかるからだ。

北京五輪直後、Lは羽生結弦のコミュニティに150万人もの参加者がいることを知り、金の匂いを嗅ぎ取った。そして羽生結弦展の開催や、限定グッズが販売されることもそのコミュニティ内で知ったのだ。

彼女は、日本橋髙島屋で同展が開催されていた20日間、ほぼ毎日足を運んだ。一日複数回、入場した日もあった。

事前予約のルールでは「全日程を通し予約は1人1枠まで」「同一のお客様による複数の予約が判明した場合、全ての予約を無効にする」などの制約があった。

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