明治チョコレート、カカオ高で決めた「究極の選択」 味と手頃な価格を両立することができるか?

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しかし、足元の状況は大きく変わっている。今後も大幅な値上げを続けていけば、消費者が離れ、販売数量が減少する懸念もある。

チョコ製品は子どもから高齢者まで、手頃な価格とおいしさの両面から支持されてきた。可能な限り、値上げ幅を抑える努力が必要だった。

明治のカカオ開発部カカオグループ長の北林孝裕氏は「(チョコレート)規格が重要だという思想でチョコを販売してきた明治にとって、規格変更は究極の選択だった」と明かす。その一方で「代用脂は価格と味を両立させている。決して悪いものではない」とも説明する。

発売約100年の伝説チョコレート

他方、昨年10月以降もチョコレート規格を死守し、本物志向で勝負している商品もある。

看板商品「明治ミルクチョコレート」は、代用脂を使用しないなど、厳密な基準を満たした「純(ピュア)チョコレート」で、1926年の発売から約100年間レシピを変えていない。競合他社の板チョコは代用脂の入ったものが大半で、原料面で差別化ができている。

「明治ミルクチョコレート」と「チョコレート効果」のパッケージ。代用脂(表示上は「植物油脂」)を使用しないのがこだわりの商品だ(記者撮影)

カカオ72%、86%、95%などのラインナップがある「チョコレート効果」もカカオの配合量の多さで根強い人気を獲得している。同商品も代用脂を使用しない製法が売りだ。

今後はこだわりの製法や歴史、高カカオのメリットを押し出す商品と、手頃な価格とおいしさを両立させた商品に分けて、マーケティングを打ち出す方針だ。

従来の「本物のチョコ」に出会う機会は減ったが、節約志向が強まる中で、消費者を納得させる商品を提供し続けられるか。より柔軟な商品戦略が求められそうだ。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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