明治チョコレート、カカオ高で決めた「究極の選択」 味と手頃な価格を両立することができるか?

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明治は従来「チョコレート」規格だった商品の一部を「準チョコレート」へ切り替える歴史的な決断をした(撮影:尾形文繁)

国内菓子最大手・明治のチョコレート製品が、大転換期を迎えている。

2024年10月、明治は看板商品「明治ミルクチョコレート」や「きのこの山」「たけのこの里」などチョコ製品98品を平均で約20%値上げした。

さらに、今年3月には「チョコレート効果」計19品を約6~33%値上げする。これでチョコ製品の値上げはこの3年で6度目。主原料であるカカオ原料の高騰などが要因だ。

カカオは過去に例を見ない速度で高騰している。明治は値上げだけでは対応しきれないと判断し、「究極の決断」に踏み切った。一部製品を対象に、カカオ豆に含まれる油脂であるココアバターを減らし、別の植物油脂で作る代用脂の割合を高める決定をしたのだ。

ココアバターの原料高で甚大な影響

これにより、チョコ製品の3割にあたる40品目の規格が変更。「アーモンドチョコレート」はパッケージ裏の名称(※)がチョコレートから準チョコレートへ。「きのこの山」「たけのこの里」はチョコレート菓子から準チョコレート菓子へ切り替わっている。

準チョコレートは、チョコレートと以下の図のような違いがある。

チョコ製品の重要な原料であるココアバターは冷やすと固まり、体温に近い温度で急速に溶け始める。この性質がなめらかな口どけを生む。

ただし、年に1度まとめて買い付けるカカオ豆と異なり、ココアバターは長期間保存できず、適宜調達する必要がある。カカオ豆相場の急上昇に伴いココアバターも高騰しており、明治は対応を迫られていた。

「在庫期間の短いココアバターの影響は甚大。ブランド価値に影響しない範囲で商品スペックを見直している」(明治ホールディングスの川村和夫社長CEO)

※日本のチョコレート類を定義する全国チョコレート業公正取引協議会は、商品選択の目安となる「種類別名称」を定め、商品が「チョコレート」と名乗るためのカカオ分やココアバターの割合などを規定している
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