明治チョコレート、カカオ高で決めた「究極の選択」 味と手頃な価格を両立することができるか?
商品を見直し、活用するのは代用脂だ。パーム油脂が主成分で、比較的安価、安定的に調達できる。代用脂の割合を高めた商品を増やせば、不安定なカカオ原料相場に左右されにくくなる。
カカオ分を減らすと消費者へ「グレードが下がった」印象を与えかねないが、変更後の商品も、味や香り、口どけの面で従来品と遜色ないという。
明治はかねて油脂の研究を重ねており、ココアバターに似た代用脂をすでに開発していたため、スムーズに切り替えられた。
信念と価格との板挟みに苦悩
「ついに準チョコに変えてしまったのか」――。
一部の明治OBからはそんな苦言も聞こえてくる。規格変更に対しては賛否両論のようだ。
それも無理はない。明治のチョコ製品は長年「チョコレート」規格だった。かつて粗悪品が多く出回っていた中、明治は欧州由来の本物のチョコを普及させるという信念の下、厳しい基準を遵守してきたためだ。
過去には「カカオはたくさん使っているほうがよい」というマーケティングを行っていたこともある。チョコレート規格を維持することは、いわば明治の歴史とプライドの表れだった。
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