小学生には「算数ドリル」がどうしても必要な訳 機械的な作業に思えても重要な意味がある
郷さん:たしかに大人になって持っていないとキツいスキルばかりですね。日常生活、かつ計算に特化した感じ。
西成先生:そう。だから算数を学ぶときは計算スキルを確実に身につけるためにある程度、問題をこなす必要があります。毎回、算数のテストで80点だったとしても喜んでいる場合ではなくて、間違えていたところが、中学校以降でつまずくきっかけになりやすいんです。
郷さん:「算数レベルなんてかんたんだよ」って思っている人が、飲み会の割り勘になるといつも間違える、みたいな。
西成先生:そう(笑)。信用問題に直結することもありますね。
「算数は道具」とは、どういう意味?
郷さん:ただ「計算ができるようになる」という話なら数学も同じじゃないですか?
西成先生:中高の数学はそうかもしれませんけど、数学の最終的な目的って自ら問いを立て、数学的なテクニックや理論を使ってそれを解くことだと思うんです。そういう意味では小学生のときにどれだけ計算が速く正確に解けたとしても、その子が優れた科学者になる保証はありません。
郷さん:計算の速さと正確さはコンピュータに勝てないですからね。
西成先生:まさにそういうこと。算数や数学はあくまでも道具であり、武器であり、課題解決のための手段です。小学校の算数ではその道具の扱い方の基礎を学ぶわけですけど、最終的には「道具をどう使うか」が重要になってくるんですね。
郷さん:中学数学の本で先生がおっしゃっていた、「数学が役に立たないと思っている人は、数学を役立てようとしていないだけだ」ですね。
西成先生:そう。こんなことを書くと純粋数学の先生たちに怒られるから、ちゃんとフォローしておくと、純粋数学もめちゃくちゃ主体的で創造的な行為なんです。だって彼らは数学的テクニックや理論そのものを新たにつくりだそうとしているわけですからね。誰かに命令されてやっているわけでもないし、そもそも教わったことだけに固執していたら新しい発見はできません。
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