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吉野家の「おしゃれ化」に抱く"モヤモヤ"の正体 進むファミリー向けへの転換、その成否は?

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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しかし、昨今のシフトチェンジにより、牛丼各社のポジションが「すき家」化している。

「すき家」化する牛丼チェーン(筆者撮影)

明るい店内、ファミリーや女性が相対的に多く、いろんなメニューがあってファミレスのよう――。こうしたイメージに各社の店舗空間が収斂されてきている。

しかし、そうなれば当然のことだが、各社の差異は小さくなり、消費者にとってはどこに行っても同じ、となる。「わざわざここ」という動機がなくなるのだ。

特にこうした方向転換が遅かった吉野家は、今さらこのような転換をしても、すき家の先行者利益には勝てない、という見方もある。

しかも、すき家の都心部の一部店舗では、牛丼容器がプラスチックになっていて(いわゆる「ディストピア容器」)、食べ終わったらそのまま捨てられるというきわめて効率的な店舗も登場してきている。むしろ1人客であれば、楽だからこうした店舗に足が向くかもしれない。

すき家のディストピア容器。そのまま捨てるだけだから効率がよい(筆者撮影)

いずれにしても、今後の展開においては、各社の間でより個性を出していかなければならないことは間違いない。

どこかふらついている印象の吉野家

特に吉野家に絞れば、こうした店舗空間の変更によってどのようなことが起こるのか、十分に考えられているのか怪しい気もする。

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例えば、クッキング&コンフォート業態の出店を見ていると、ロードサイドが中心ではあるものの駅前立地なども多く、「ファミリー層よりおひとりさま需要のほうが強いんじゃ……?」と思うところも多々ある。

それに、近年の吉野家はどこかその戦略がふらついているのも不安要素となる。例えば、吉野家ではかねて「唐揚げ」を「第2の柱」として押し出し、今年12月には唐揚げ専門業態の「でいから」も初出店した。

さらに、今年話題を呼んだのが、ダチョウの肉を用いた「ダチョウ丼」だ。発売当時は「ホントに?」感があったが、同社は2015年に茨城県石岡市のダチョウ牧場を買い取っていて、10年近くダチョウの飼育を続けていた。このダチョウも「次なる柱」にすることを述べて、意欲を見せる。

さらに、今年の4月には「ラーメン」を「新たな柱」にする中期事業計画を発表した。さらに、ラーメン商材を扱う宝産業を買い取り、それ以外にも地域の人気店を意欲的にM&Aする計画を立てている。

唐揚げ、ダチョウ、ラーメン……。これ以外にも12月にはカレー専門店も立ち上げていて、ずいぶんと柱が多い。

かつては「牛丼一筋80年」とCMで流していたぐらい、牛丼にこだわってきた吉野家だが、2000年代のBSE(牛海綿状脳症)の問題や昨今の牛肉の値上がりなどがあり、どうしても「牛丼一筋」では経営的に難しい局面も出てくる。だからこそ、これまでの吉野家の姿を大胆に変えようとしているのだろうが、どこか軸足を見失っている感も否めない。

吉野家としては、ソロ男性といったロイヤルカスタマーを切っているつもりはないかもしれないが、こうした慌ただしい改革の中で、知らず知らずのうちに彼らの不満は蓄積されているかもしれない。

現状、吉野家の業績は伸びており、こうした改革の成果は出ている。だから、問題ないのかもしれない。ただ、妙に明るくきれいな店舗を見て、どこかそこに危うさを感じるのだ。

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