吉野家の「おしゃれ化」に抱く"モヤモヤ"の正体 進むファミリー向けへの転換、その成否は?

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モダンでオシャレな店内には植物が植えられていて、ウェル・ビーイングな雰囲気。筆者も作業をするためにたびたび訪れるのだが、実に居心地がいい。

実はこうした吉野家の「変化」の裏には、吉野家のみならず牛丼チェーン全体の「客層のシフト」が隠されている。その変化と、ビジネスとしての成否を考えたい。

吉野家「クッキング&コンフォート」店舗は、現在436店舗ある。国内1249店舗(11月現在)のうち、約35パーセントがこの業態だ。2025年2月末までに、532店舗を目指していて、出店拡大に意欲を見せる。

この店舗は、吉野家のこれまでの方向性から大きな変化を見せている。具体的に言えば、「1人で黙々と食事をする空間」から「女性やファミリーがゆったり居られる空間」への転換だ。

吉野家の開業は1899年。最初は日本橋の魚市場に誕生した。市場で働く忙しい人々のために、さっと食べられる牛丼を提供し始め、人気を博す。

スローガンは「うまい、やすい、はやい」で、牛丼以外のメニュー数は絞り、ソロ男性向けに牛丼を安く、早く食べられることに注力してきた。

吉野家
もはや懐かしささえある「オレンジ吉野家」(筆者撮影)

こうした店の方向は、その空間にも表れている。従来の吉野家は、なるべくご飯を早く食べたいサラリーマンに特化した空間を作っている。ズラリと並んだカウンター席、インテリアも少なめの簡素な店内など、「1人で黙々と食事をする空間」だ。

しかし、現在展開中の「クッキング&コンフォート」業態はそうではない。「女性やファミリーがゆったり居られる空間」になっている。

クッキング&コンフォート店舗はどんな感じ?

実際に中に入ってみよう。

まず気づくのは、その雰囲気の明るさだ。モノトーンを基調とした店内は明るく、洋楽が流れていて、まるでおしゃれなカフェに来たかのよう。

また、所々に植栽が施してあって、モノトーンの店内に彩りを添える。造花だが、植物がある。注文はカウンター越しではなく、中央のレジで行い、料理もそこで受け取る。今までの吉野家とは少し違うスタイルだが、決してわかりにくくはない。

席は、テーブルと1人席が混在しているが、若干、テーブルのほうが多い。私が訪れた店舗には、キッズスペースやキッズ向けのカプセルトイなども置いてあって、「ようこそ、ファミリーさま!」感がすごい。

吉野家
ドリンクコーナーは、どこかファミレスのよう?(筆者撮影)
吉野家
カフェのような内装だ(筆者撮影)
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