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吉野家の「おしゃれ化」に抱く"モヤモヤ"の正体 進むファミリー向けへの転換、その成否は?

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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また、各テーブルにはコンセントがあって、カフェとしてゆったり使える設計も。ちなみにこの店舗にはドリンクバーもあるから、作業にもバッチリだ(この記事も、吉野家で書いている)。

総じて、女性やファミリー層をかなり意識した店内なのだが、吉野家がこのような店舗を作ったのは、これまでの牛丼の客層だったソロ男性だけでは、店舗の拡大に限界が見えてきたからだろう。

牛丼業界は全体として、店舗数が天井に達しつつあり、さらなる拡大を図るために顧客の拡大が必要とされていた。そうした中で、これまで牛丼屋が取りこぼしていたターゲット層を狙っていこうとしているわけだ。

特にファミリー層については、1人客に比べれば必然的にその消費額も大きくなるから、店側にとっても都合がいい。

吉野家では「1人で行く安くて早い店」からの脱却が進んでいるのだ。

松屋でも似たような変化が

こうした変化は、他の牛丼チェーンでも起こっている。

例えば、松屋。松屋は「みんなの食卓でありたい。」のスローガンのもと、もともと牛丼だけに頼らないメニュー構造をしていたが、近年、牛丼以外のメニューの進出にさらに意欲的になっている。

数年前からはとんかつの専門業態である「松のや」の出店を加速。また、カレー専門店である「マイカリー食堂」も誕生させて、この3店舗を複合させた併設店を多く出店している。

これによって、コア層の30〜40代男性に加え、ファミリー層も増えたらしい。やはり、客層の拡大がその一つの狙いにあることは間違いなさそうだ。

ちなみに、その店内は複数の飲食店が軒を連ねる「フードコート」のようであり、ファミリーでやってきても、それぞれがそれぞれ食べたいものを食べられるからいい。

現在、「なんでもある」業態のファミリーレストランの数がじわじわと減少し、その代わりに「カテゴリーキラー」と呼ばれる専門店が増えている。フードコートはそのような時代において、ファミレスの「なんでもある」感と専門店の強みを融合させたような業態だ。ファミリーにバッチリかもしれない。

さらに、松屋は客単価を上げる戦略も取りつつある。特に最近は1000円を超えるメニューも誕生している。例えば、11月から発売されている煮込みビーフシチュー定食は1190円。12月から発売されているカットヒレステーキ丼は1180円である。牛丼屋のイメージで行くと、少し高く感じるだろう。

松屋の煮込みビーフシチュー定食。1190円というお値段だが、洋食屋などと比較するとお手頃価格だ(写真:大関まなみ)

「1人で安く行ける店からの脱却」という、吉野家と同じ変化が起こってきている。これまでのロイヤルカスタマーであった「ソロ男性」には少々悲しい変化かもしれない。

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