サウナの「異様な流行」の裏で進む"老人の排除" 公共空間から2千円払える人々の娯楽の場に変化?

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ただし、「空間」という観点で見ると、また違った感想が浮かび上がってくるのも事実だ。特定の消費者のニーズに応えるために、その分だけ別の誰かを切り捨てているからだ。

サウナ用語・サウナ作法による「老人」の排除

ちなみに、ディズニーランドが来場者のことを「ゲスト」、園内スタッフのことを「キャスト」と呼ぶように、テーマパークの中では独自の用語が多数ある。

近年のサウナでも「ロウリュ」「アウフグース」に始まり、「サ室」や「チラー」など数多くの専門用語が高度に発達している(担当編集も説明のとき、こうした単語を使う)。サウナ用語を解説する「Saunapedia」なるサイトがあるほどだ。

サウナーたちはその用語を自在に使いこなし、彼らの中での結束を高める。独自言語は、それを理解しない人々の排除を高めて共同体の結束を固くする。

さらには、近年のサウナブームでは「サ道」が「道」を称しているように、「ととのう」ための礼儀作法が厳しく定められている。ひとたびネットを叩けば、その正しい入り方を解説するサイトがあふれている。

なんでも、サウナ・水風呂・外気浴の時間が厳密に定められていたりもするらしい。そのあまりの厳しさに、検索エンジンでは「サウナ好き めんどくさい」といったオススメ検索が表示されるほど。

テーマパークもまた、そのパークの設定に合わせた振る舞い方が暗黙のうちに求められているが、それと近いことがサウナの空間でも起こっている。

ふと思い出したが、スタバは「グランデ」やらなんやらといった「スタバ用語」を張り巡らせ、オーダーの仕方という「礼儀作法」を浸透させることによって、相対的にそうした用語や作法が理解できない高齢者の利用率を低下させたという。それと同じことがサウナでも起こっているかもしれない。

こうした、用語や礼儀作法の面でも、サウナから高齢者は「静かな排除」を受けており、逆にそれこそが、昨今のサウナーたちの結束力を高めたのかもしれない。

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