実際、サウナ実態調査での「どうすればサウナに行きたいか」という質問では、非サウナーの23%が「金銭的余裕があれば行きたい」「価格が安くなれば行きたい」と「価格」を理由にサウナに行っていないことが明らかになっている。
現状では、こうした「価格設定」がコアな客層の選択を果たしているのだ。
そうして、サウナには「ある程度お金を持っている若い人」がたくさん集まることになる。担当編集が行く銭湯のように、昼から夜までサウナで激混み、なんてことも出てくる。そうして若い人が集まれば、さらに高齢者も減ってくるだろう。
テーマパーク化するサウナのスゴさ
こうした流れを見ていて思うのは、サウナの「テーマパーク化」だ。
若いサウナーたちを徹底的に満足させる環境が生み出され、サウナが変化してきている。もちろん、私はこの流れを否定しているわけではない。というか、その進化はすごいことになっている。
例えば、先ほども紹介したが、赤坂にある「サウナ東京」はすごい。メインとなる「蒸喜乱舞」では、自動制御システムにより、サウンド、照明、オートロウリュがもっとも効果的な形で制御されている。
さらにもう一つの「手酌蒸気」というサウナは、本場フィンランドから取り寄せられたケロという木材がふんだんに使用され、ロウリュは自分の手で石に水をかけるフィンランド式。まるでフィンランドにやってきたかのよう。
サウナから出ると待っているのは、畳敷きのベッドのようなものが並ぶ休憩スペース。サウナーの血液ともいえるオロポ(オロナミンCとポカリスエットを混ぜたドリンク)はもちろん、オロカル(オロナミンCとカルピスを合わせたドリンク)や、フィンランドのサウナアルコールドリンク「ロンケロ」を和風アレンジした「和ロンケロ」など、サウナーのためのメニューが揃う。
また、温浴コンサルタントの太田広は、自身がコンサルタントする温浴施設のサウナにおいて、0.1度単位でサウナの温度を調節していると述べ、「『サウナ』『水風呂』『不感温度バイブラ』の絶妙な温度調整、そしてサウナを出たあとの「食事」で利用客がハマる流れを完璧につくっている施設は、客が離れません」と、前出のインタビューで語っている。
ディズニーランドが完璧な環境構築で夢の世界を演出しているのと同じように、サウナーたちは、知らず知らずのうちに彼らがもっとも満足する環境を与えられ、ハマっていく。昨今のサウナは、消費者を楽しませるというプロ意識のもとで、娯楽性・エンタメ性が真面目に追求された場所になった。これが、私がサウナがテーマパーク化していると述べる理由である。
これ自体、施設側の絶えざる努力の結果であり、その結果多くの人を満足させているのだから、非難される筋合いはない。
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