人生がうまくいく人がやっている「割り切る」習慣 「年を取ると不幸になる人たち」の共通点とは?

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例えば、何かのプロジェクトに成功して、会社から10万円の金一封が支給されることになったとします。何も期待していなかったところに、10万円の金一封がもらえたとしたら、この場合の参照点は「0円」となります。

そのプロジェクトが予想以上の成果を納めて、一時は「20万円の金一封が支給されるらしい」という話があったものの、最終的には10万円に減額されて支給された場合の参照点は「20万円」ということになります。

どちらの場合も、10万円の金一封が支給されている事実は同じですが、前者であれば、素直に「得をした」と感じるものの、後者のケースでは、何となく「損をした」ような気分になります。

実際には、何も損はしていませんが、同じ10万円をもらっても、参照点によって、受け取り方や印象に大きな違いが出るのです。

不幸と感じたり幸せと感じたり…

人間は、自分が設定した参照点を下回ると、自分が不幸だと感じ、わずかでも上回ると幸せだと感じるものなのです。

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私がたくさんの高齢者を診ていて感じるのは、年齢を重ねたら参照点を下げたほうが、幸せの基準が下がって、心が満たされるということです。

大金持ちだったり、異性にモテたり、出世街道を一直線に突っ走ってきたような人は、昔の自分と比較して、今の自分をみじめに感じてしまいます。

その一方で、昔はお金がなく、異性にも相手にされず、納得のいかない人生を送ってきた人は、高齢になって特別養護老人ホームに入っても、快適な部屋で過ごせることや、美味しい食事に感謝して、人生の最後に大きな喜びを感じることができます。

幸せの価値観は人それぞれですが、参照点を低くすれば、ささやかな出来事に幸せを感じ取ることができるのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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