宇宙ごみ除去・アストロスケール「下方修正」の背景 株式市場からの評価と期待を両立する難しさ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アストロスケールの主な事業は、運用が終了した衛星を降下させて大気圏で燃やすデブリ除去、燃料が枯渇してコントロールできなくなった衛星の軌道を変更・維持したり、燃料を補給したりする寿命延長、衛星の故障状態などを調べる観測・点検といったサービスだ。

ただ、今はまだ商業サービスの提供を目指して技術の開発や実証を重ねている段階にある。そのため、現状はこうしたサービスの実現を後押しする各国政府などから得る、開発や実証の進捗に応じたマイルストーン収入がプロジェクト収益の中心だ。

2025年4月期は、未受注の一部プロジェクトにおける研究開発費の先行があること、政府からの収入だけでは総コストを賄えず、一部自己負担となった別プロジェクトで32億円の受注損失引当金が発生することなどから、もともと赤字が拡大する想定が示されていた。

2つの新規プロジェクトの契約が遅延

誤算だったのは、民間顧客の衛星の寿命延長サービスを担う衛星初号機「LEXI-P」と、日本政府が顧客で、衛星の寿命延長サービスの「Project A」という2つの新規プロジェクトの契約が遅延したことだ。これらでプロジェクト収益の下方修正額の大半となる約50億円の下押し影響になるという。

説明会で岡田社長は「LEXI-Pは顧客が民間で実衛星へのサービスとなり、R&Dプロジェクトではない。そうした点で検討しなければならない事項に時間がかかっているが、かなり密な詰めの議論をしており進捗はしている」と強調した。

2つのプロジェクトとも従来予想よりは進捗が遅れているものの、今期第4四半期(2025年2月~4月)から貢献する前提で下方修正後のプロジェクト収益予想に織り込んでいるという。

次ページ未契約事業を織り込んだ理由
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事