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「日揮HD」が2期連続赤字で社長引責辞任の難局 エンジニアリング「業界の雄」が直面するリスクとは

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日揮
写真は2017年の社長交代会見時。海外の大型プロジェクトの責任者を歴任するなどプロジェクトマネジメントの知見が豊富だった石塚忠社長(右)と違って佐藤雅之会長(左)は財務畑出身。CFOや副社長を務めた経験はあるが、社長に就くのは今回が初となる(撮影:今井康一)

総合エンジニアリングで国内最大手の日揮ホールディングス(HD)。同社グループが設計・建設したプラントでは、世界の生産量の3割を占めるLNG(液化天然ガス)が生産されている。この「業界の雄」が今揺れている。

日揮HDは2月12日、2025年3月期通期の業績予想を大幅下方修正した。営業利益の予想は260億円の黒字を140億円の赤字に。最終利益の予想も230億円の黒字から40億円の赤字に引き下げた。

業績悪化の原因は410億円に上る建設工事の追加費用などの計上にある。決算会見で佐藤雅之会長CEOは次のように説明した。

「受注予定のEPC(設計・調達・建設)プロジェクトのFID(最終投資意思決定)が遅れていることにより、エンジニアの不稼働損が発生することに加え、4件のEPCプロジェクトで採算予想が悪化した」

「エンジニアの不稼働損」は、国内におけるLNG案件や水素、再生航空燃料(SAF)といった脱炭素案件で起きている。当初見通しよりプロジェクトの投資決定が遅れ気味となっているのは、資材高騰などのあおりを受けていることが背景にある。

そして採算予想が悪化した4件のプロジェクトはいずれも海外の案件だった。

「プロジェクト管理のプロ」でも苦戦

日揮HDは前2024年3月期も多額の追加工事費用が発生し、78億円の最終赤字を計上した。

タイの化学プラント案件で、配管設計図面の遅れや品質不備が生じて機器調達などの追加費用が発生。サウジの石油・ガス分離設備案件でも配管設計に不備があり、設計のやり直しで追加費用の引き当てを行った。

インドネシア子会社の天然ガスプラント案件では、サブコントラクター(専門工事会社)の遂行能力に問題があり損失を計上した。

総じて言うと、脱炭素案件などへ事業領域を急速に拡大した結果、設計エンジニアの配分が適切にできなくなり、設計品質に問題が生じた。海外子会社が分不相応な大型案件を受注したことも響いた。

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