私たちはなぜ「テレビ報道」に翻弄されるのか ニュースと「ワイドショー」の境目がなくなった
マスメディアというフィルターを通して社会を見る私たちの危うさを見事に表現していると思った。私たちはもう、ニュースだけを見て判断しないほうがいい。ネットにはリテラシーが必要とよく言うが、実はマスメディアにもリテラシーが必要だ。
「逮捕=犯罪者」ではない
前々から感じていたのだが、本来は「逮捕=犯罪者」ではないのに、テレビでは毎日さまざまな容疑者が逮捕される姿が伝えられ、それを見た私たちはその容疑者は犯罪者だと決めつける。だが、逮捕された人物が犯罪を犯したと決まったわけではない。その後、不起訴になることもある。起訴されると日本では99.9%の確率で有罪になるといわれるが、私たちはつい最近「袴田事件」で何十年も犯罪者と思っていた人が、無罪になるのを見た。小さな犯罪でテレビで逮捕される場面が放送され、その後不起訴になったり裁判で無罪になってもずっと犯罪者扱いされる人は多いはずだ。犯罪者の断定を簡単にしてはならないと、私たちは自戒せねばならない。
兵庫県知事についての報道でもまさに、斎藤知事は悪人と思えばそう見えるし、そうではないと思うとそうではないように見える。兵庫県民の多くが「ニュースや報道で見る事件と違う」と選挙期間中に考えを変えたから斎藤氏が再選された。そんな人々は「テレビ報道にだまされた」と感じている。
BPO(放送倫理・番組向上機構)には毎月視聴者の意見が数多く寄せられる。先日公開された11月の意見は兵庫県知事選挙についてが多かったという。BPOのサイト上で公開されているものをいくつか紹介しておく。
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