アインシュタイン「相対性理論」はなぜ凄いのか? 今こそ知っておきたい"超基本"をやさしく解説

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さらにアインシュタインは、「重力の秘密」も暴きました。相対性理論によると、物体があるとまわりの空間と時間がゆがみます。

じつは、あなたもしっかりと周囲の時空をゆがませているんです。といっても、日常的な物体がまわりの空間と時間に与える影響はごくわずか。物体が重たい(質量が大きい)ほど、空間と時間のゆがみは大きくなります。

その極端なケースが「ブラックホール」です。『「ブラックホール」で"時が止まる"は本当なのか?』でお話ししたように、ブラックホールでは、空間と時間が強烈にゆがむことで、摩訶不思議な出来事が起きていました。

ニュートンvs.アインシュタイン

相対性理論が出てくるまでは、「すべての物体にはお互いに引き寄せ合う重力(引力)が働く」と考えられていました。力の強さは物質の量(質量)に比例します。これをニュートンの「万有引力の法則」といいます。

しかし、アインシュタインの相対性理論によれば、「物体があるとまわりの時空はゆがみ、ゆがんだ時空に物体があると動く」ということが起きています。

そう言われても、いまいちピンときませんよね。

たとえば、地球が太陽のまわりを回る場合、両者の理論ではどう説明されるのか比べてみましょう。

アインシュタインとニュートンの理論の違い(イラスト:村上テツヤ)(『やわらか宇宙講座』207ページ)

ニュートンの万有引力の法則では、「地球が太陽のまわりを回るのは、太陽の強い重力によって地球が太陽方向に引き寄せられるからだ」と説明されます。

一方、アインシュタインの相対性理論では、「太陽のまわりの時空がゆがんでいて、地球はゆがんだ時空にそって進んでいるだけ。地球はまっすぐ進んでいるつもりでも、空間自体がゆがんでいるので曲がってしまう」と説明されるのです。

「地球が太陽を回る」という同じ出来事でも、説明の仕方がまったく違います。アインシュタインは「重力の正体は、時空のゆがみである」ということを発見したのです。

奇妙な話に聞こえますが、相対性理論の正しさは観測や実験から実証されています。万有引力の法則だけでは説明しきれなかった惑星(水星)の微妙な動きが、相対性理論でピッタリ説明できたのです。

では、ニュートンの万有引力が完全に間違っていたのかというと、そういうわけではありません。重力が弱い場合や、物体の動きが光の速度に比べて遅い場合には、「万有引力の法則」は十分に通用します。どんな理論にも適用できる限界があるのです。

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