アインシュタイン「相対性理論」はなぜ凄いのか? 今こそ知っておきたい"超基本"をやさしく解説

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「相対性理論の正しさは実証されている」と言いましたが、「時間や空間がゆがんでいる」ということを、いったいどうやって確認するのでしょうか?

まず「空間のゆがみ」は、天体観測から実証されています。星の光が太陽のそばを通るときに、太陽がゆがませている空間にそって光の進路がグイッと曲げられていることが確認されています。

ただ「情熱的に好奇心が旺盛なだけ」

続いて、「時間のゆがみ」は、なんと、東京スカイツリーでも実証されています。

相対性理論によれば、重力の弱いところでは時間の流れかたが速くなります。高さ450メートルにあるスカイツリーの展望台では、地上よりもわずかに重力が弱いため、時間がほんの少し速く進みます。理論から予想される「1日で10億分の4秒」という時間のズレが、日本の優れた技術によって検出されています。

空間も、時間も、本当にゆがんでいたとは……!!

私たちがふだん使っているGPSでは、「衛星が動いて時間が遅れる効果」と「重力が弱くて時間が進む効果」が合わさって時計がずれています。相対性理論から計算されるズレを補正しているからこそ、位置が正しく測定できています。

相対性理論は、すでに実生活にも応用されているのです。

アインシュタインの相対性理論、じつに、不思議な理論ですよね。

不思議ではありますが、その正しさが現実の世界で実証されているので、私たちが住んでいる世界がそもそも初めから不思議だったということです。アインシュタインは、誰も疑問をもたなかった世界の不思議に気づいた人と言えます。

アインシュタインが天才と言われる理由がわかりますよね。

アインシュタインのように、それまでの価値観をガラリと変える大発見をするのは難しいことかもしれませんが、アインシュタインは「私には特別の才能はない。ただ私は、情熱的に好奇心が旺盛なだけだ」との言葉を残しています。

好奇心をもって、いろんなモノに目を向けることなら私たちにも実践できますよね。

きっと身の回りには、気づかずに見過ごしている不思議がまだまだ潜んでいるはず。

当たり前に思える物事も、自分の好奇心を大切にして掘り下げていけば、新しい発見があるのかもしれませんよ。

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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