「仕事と家庭」両立しようと疲弊する人の根本原因 禅僧が解説「疲れや不安を手放す」生き方

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逆にいえば、もしその幸運をつかめていないのなら、備えが不足していたと考えるべきなのかもしれない。そこで、ふたたび幸運が訪れるときまで、ふたたび努力を続けることが大切なのである。

仕事は仕事、家庭は家庭として全うする

お寺や神社にある長い参道と門や鳥居の役割をご存知でしょうか。門や鳥居には、俗なる場所と浄らかなる場所を隔てる「結界(けっかい)」の機能があります。参拝者は、参道を歩きながら気持ちを鎮め、神様仏様とお会いする心構えを整えるのです。

同様に、日常生活において私たちは「結界」を必要としています。例えばそれは、「仕事モード」を家に持ち帰らないための結界です。(110ページより)

仕事に没頭し、多少のストレスも厭わないあり方を仕事モードとするなら、仕事のことを忘れて心身を休めるのが家庭モード。どちらも私たちの生活には欠かせないが、両者が混ざってしまうのは避けたいところ。帰宅後も仕事をしていたのでは疲れがとれず、家族とのコミュニケーションも中途半端なものになってしまうからだ。

つまり、仕事は仕事として100%やり切る。家庭は家庭として100%やり切る。この2つを混ぜないために、日常生活の結界が重要な意味を持つということである。

とはいえテレワークが浸透して以降、仕事と家庭の境界は曖昧になっている。もちろんテレワークには多くのメリットがあるが、仕事とプライベートとの距離が緊密になりがちであるため、「仕事に集中できず、ついダラダラしてしまう」「仕事のストレスをオフタイムに持ち込んでしまう」などの弊害もあるだろう。

そうであるならば、結界を自分の手でつくることです。

結界づくりにこれといってルールはありません。頭のなかで「〇〇をしたら仕事モード」「△△したら家庭モード」と“儀式”を決めておくだけでよいでしょう。(111〜112ページより)

なるほど、結界という概念を利用して「外と内」を分けてみれば、日常生活にもメリハリがつくかもしれない。新しい年をひとつのきっかけとして、試してみてはいかがだろうか。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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