「大腿骨を骨折した人」半分は5年以内に死亡の怖さ "ある年齢"を境に身体機能は「ガクッと」落ちる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

つまり、75歳以上の高齢者に関しては、医療者や研究者がよりどころにできる「教科書」が、まだ不十分な状態だ。まさに今、老年医学を研究する者たちにとっては大きな課題であろう。

慶応義塾大学医学部の百寿総合研究センターでは、100歳以上の「百寿者」を対象に研究が行われているので、研究がないわけではないが、もっと100歳の手前の80代、90代の研究がなされるべきである。

骨折の本当の怖さ

では、なぜ骨折することがそんなに問題になるのか。骨折がなぜ全身の健康に大きな影響をおよぼすのか。そう思う人もいるだろう。

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」では、要介護になった理由で多いのは、認知症や脳血管疾患(脳卒中)だ。しかし、骨折・転倒や関節疾患も多い。とくに女性では、骨折・転倒と関節疾患を合わせると要介護の理由の1位になる(*2)。

高齢者の骨折・転倒の背景には骨粗鬆症があり、とくに大腿骨近位部骨折は増加の一途をたどっている。骨粗鬆症財団のデータでは、1997年に9万2400人だった大腿骨近位部骨折の患者数が、2017年には19万3400人と、20年で倍以上に増えている(*3)。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事