「大腿骨を骨折した人」半分は5年以内に死亡の怖さ "ある年齢"を境に身体機能は「ガクッと」落ちる

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この大腿骨近位部骨折が、要介護、つまり寝たきりの原因になるのだが、恐れるべきは、その先だ。当財団の調査では、大腿骨近位部骨折後5年死亡率は51%。

つまり、大腿骨を骨折した人の半分は5年以内に亡くなっているのだ。海外の調査でも、大腿骨近位部骨折の1年後の死亡率は約20%、5年後は約60%というデータがある(*4)。

がんの指標に「5年生存率」があるが、2014〜2015年に診断されたがん患者さんの5年生存率は66.2%であった(*5)。一概には比較できないとはいえ、単純に考えれば、がんよりも大腿骨の骨折のほうが生存率は低いということになる。

「ベッドで安静」が続けば致命的に

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なぜ、骨折が生命の危機をもたらすのか。それは、高齢になるほど、動けない状態が筋力や認知機能の低下につながるからだ。

短い期間であっても、骨折してベッドで安静にしなければならない状態が続くと筋力が低下し、全身が弱ってしまう。

また、認知機能の低下も進む。体を動かさないことは、とくに高齢者にとって、致命的なダメージにつながるのだ。

*1 Orimo H, et al :Osteoporosis Int27:1777-1784 2016
*2 内閣府:令和4年版高齢社会白書
 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_2_2.html
*3 骨粗鬆症財団:数字でみる骨粗しょう症
 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/tabid265.html
*4 Johnell O, et al :Osteoporosis Int15:38-42 2004
 http://www.josteo.com/ja/news/doc/201125_1.pdf
*5 国立がん研究センターがん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/latest.html
折茂 肇 骨粗鬆症財団理事長

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おりも はじめ / Hajime Orimo

公益財団法人骨粗鬆症財団理事長、東京都健康長寿医療センター名誉院長。1935年1月生まれ。東京大学医学部卒業後、1986年東大医学部老年病学教室教授に就任。老年医学、とくにカルシウム代謝や骨粗鬆症を専門に研究と教育に携わり、日本老年医学会理事長(1995~2001年)も務めた。東大退官後は、東京都老人医療センター院長や健康科学大学学長を務め、現在は医師として高齢者施設に週4日勤務する。

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