バイデン「日鉄のUSスチール買収阻止」その後は? 最終的に判断を下すのはどこになるのか
従来、アメリカ大統領はIEEPAを真の国家安全保障問題にしか使用できなかった。しかし、トランプ氏はこの自制の規範を”破り”、IEEPAが想定していなかった目的のために発動した。
2019年、アメリカ議会がメキシコ国境の壁のための予算計上を拒否したとき、トランプ氏は不法移民をめぐってNEAを発動することで、議会に唯一の「財布の権限」を与えている憲法を無視した。そして、議会が他の目的のために計上した資金を壁の財源に振り向けた。
バイデン大統領も同様のことをしている。2022年、コロナ禍の緊急事態宣言を利用し、コロナ禍で人々の支払い能力が低下しているとして、学生1人当たり2万ドルまでローン返済を免除している。
IEEPAを利用して関税を引き上げることも
トランプ氏は今後、IEEPAを利用して、日本のような同盟国を含むあらゆる国に高関税を課すことを検討していると見られる。同法は国家非常事態において大統領が関税を課すことができると定めている。
トランプ氏は1期目に、「メキシコによる効果的な行動によって不法移民の危機が緩和される」まで、IEEPAを使ってメキシコに高関税を課すと発表した。しかし、メキシコが行動を起こすことに同意したと発表したため、結局発動はされなかった。
IEEPAの前身がこのような関税を課すために使われたのは、リチャード・ニクソン氏の時代だけである。同氏は1971年、ドル価値の急落が緊急事態であるとして、すべての輸入品に10%の関税を課した。アメリカの輸入業者がこれは本当の緊急事態ではないと訴えると、裁判所はニクソンを支持した。
仮にトランプ氏が関税のためにIEEPAを行使した場合、ある著名な法律事務所がウェブで発表したところによると、「国家安全保障と外交問題に関しては、裁判所は引き続き行政府に広く従う可能性がある」。
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