バイデン「日鉄のUSスチール買収阻止」その後は? 最終的に判断を下すのはどこになるのか
さらに、安全保障上の危険をもたらす可能性のある、あらゆる外国投資を調査するためにCFIUSを設立した1988年のエクソン・フロリオ修正案は、CFUIS案件に関する大統領の決定を裁判所で争うことはできないと明記している。
しかし、中国企業が関与した2014年の判決(Ralls vs. CFUIS)において、アメリカ連邦控訴裁判所は、「適正手続き」が守られていない場合は、大統領の決定に異議を唱えることができるという判決を下した。日鉄とUSスチールは、CFUISとバイデン大統領が選挙目的を合理化するために、安全保障について虚偽の主張を行った、と訴えると予想される。
IEEPAを使って関税を引き上げる可能性も
裁判所がこの訴訟を取り上げるかどうか、取り上げるとしたらどのような判決を下すか、そしてこの訴訟にどれくらいの時間がかかるかはまだわからない。
また、裁判が決着するまでの間、裁判所が買収を認めるかどうかも不明だ。いずれにしても、本件は次期大統領の案件となる。その場合、トランプ氏は上述の通り、IEEPAによって買収を禁止しようとする可能性がある。
トランプ氏がIEEPAを使って買収を阻止した場合、鉄鋼関税を引き上げるためにカナダや日本などを国家安全保障上の脅威と呼んだときよりもさらに未知の法的水域に踏み込むことになる可能性がある。
シナリオを考えてみよう。トランプ氏は国家非常事態法(NEA)に基づいて緊急事態を宣言し、IEEPAを発動する。ブレナン司法センターによると、「NEAは大統領に国家緊急事態を宣言するほぼ完全な裁量権を与えている」。
議会は3分の2以上の賛成が得られない限り、大統領を拘束することはできない。一方、前述したように、国家安全保障を名目にした大統領の決定に裁判所が干渉することはほとんどない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら